岸田首相「必ず避難全解除を」 福島来県、葛尾村民に直接決意

 
復興交流館で行われたイベントで「えごまアイス」を試食する岸田首相(左)=5日午前、葛尾村

 岸田文雄首相は5日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興状況を視察するため、葛尾村などを訪れた。原発事故による帰還困難区域のうち、葛尾村の特定復興再生拠点区域(復興拠点)に出ていた避難指示が12日に解除される。首相は村民らに解除決定を直接伝え「将来的には必ず帰還困難区域の全ての避難指示解除を成し遂げる」と語り、避難指示解除への取り組みを前進させる考えを示した。

 葛尾村の復興拠点を巡っては、政府が「野行(のゆき)地区」にある約0.95平方キロの避難指示解除を決定した。県内6町村が計画している復興拠点で、住民の居住再開につながる避難指示解除は初めてとなる。

 村民らを前に首相は「避難指示解除はゴールではなく、スタートだ」と強調。「東北の復興なくして日本の再生はないという強い決意の下で、葛尾村、福島の復興に責任を持って取り組む」と約束した。

 20年代かけ取り組み 復興拠点外れた地域の避難解除

 5日に葛尾村などを訪れた岸田文雄首相は、葛尾村に続く5町村の特定復興再生拠点区域(復興拠点)も避難指示解除を目指すとした上で、復興拠点から外れた地域を巡っては「2020年代をかけて、帰還意向のある住民が帰還できるよう、解除に向けた取り組みを進めたい」との方針を改めて示した。視察後、報道陣の取材に答えた。

 避難指示解除に伴い、住民に分断が生まれるとの懸念があることへの見解を問われ「そういった点も念頭に置き、各自治体の個別の課題、要望を伺い、丁寧に取り組みたい」と答えた。

 交流館を視察

 首相は、村再生のシンボルとして18年に開館した復興交流館「あぜりあ」の4周年記念イベント会場を訪れた。帰還困難区域を除く避難指示が16年に解除されて以降、村外の活力との交流により生まれた特産品について、関係者の説明を受けた。

 村と連携協定を結び、特産のエゴマを使用した商品開発に取り組む郡山女子大のブースでは「えごまアイス」を試食し「地域にとって素晴らしいこと。これからも頑張ってもらいたい」と学生を激励した。

 村内にニットウエアの製造工場を置く金泉(きんせん)ニット(愛知県岡崎市)の製品についても説明を受け「地元に雇用ができ、葛尾の自然を利用し、品質を高めている」と語った。

 首相は報道陣に「多くの皆さんの努力により復興が進んでいると感じた」と語り、若者を中心に交流人口の拡大を通じた被災地の活性化が重要だとの認識を示した。視察には内堀雅雄知事、篠木弘村長が同行した。

 続いて首相は田村市都路町の杉内地区も訪れ、シイタケ原木林の復興に向けた「里山・広葉樹林再生プロジェクト」の現場を視察した。「林業は長いスパンで考えていかなければならない仕事だ」と述べ、長期的な支援の必要性を指摘した。