住民の不安...帰還前提 説明会終了、大熊町長「しっかり対応」

 

 大熊町は5日、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除を巡る住民説明会をいわき市と町内で開き、一連の説明会を終えた。吉田淳町長は「帰ってからの不安が6割、放射線への心配が4割と感じた」との認識を示し「帰ることを前提とした心配と捉えている。しっかりと対応したい」と強調した。10日に予定される町議会全員協議会で議会側と協議し「6月末~7月上旬」の範囲としている解除日を決定する。

 大熊町の復興拠点は、原発事故前の中心部だった下野上地区を含む約860ヘクタールで整備を進めている。避難指示解除に必要な3要件のうち〈1〉年間追加被ばく線量20ミリシーベルトを下回る〈2〉インフラ整備―を満たしたとして、残る「十分な協議」のため説明会を設けた。開催は4日の会津若松、郡山両市と合わせ、県内4会場だったが、吉田町長は「(十分な協議という)趣旨を貫けたと思う」と述べた。

 5日のいわき市での説明会では、同市に避難する男性(61)が「原発が立地する地元なのに、東電から直接説明がないのはなぜか。前の生活に戻りたいが、帰還した後に原発で何かあった場合どうするのか」と訴えた。吉田町長は「原発の安定状態は帰還の大前提。その部分は国と東電に間違いが起こらないよう繰り返し言い続ける」と答えた。

 大熊町の説明会では、復興拠点内の道路修復や除染後の土地の管理などに意見が相次いだ。かつて拠点内の旭台に自宅があり、今は町内の大川原地区の公営住宅に住む山崎春子さん(79)は「家はもう取り壊したが、草がたくさん生えて山のようだ。除草剤を持っていくのも大変」と現状を語り「町内で移動販売などもやってほしい。そういうことを聞いてもらいたかった」と思いを口にした。

 土地利用の配慮求める

 大熊町の吉田淳町長は5日、復興拠点の整備に関連して除染されたが、避難指示の解除にはつながらない土地の利用について、政府に柔軟な対応を要望する考えを示した。復興拠点内の空間放射線量を下げるため「外縁除染」された土地などが該当し、拠点外の避難指示解除の制度からも外れる可能性がある。吉田町長は「住民に寄り添った対応を求めていく」としている。

 政府は復興拠点内で着実に除染を進めている。さらに拠点内の放射線量低減を目指すため、おおむね拠点境界の20メートル程度を外縁除染として除染を行ってきた。

 拠点内にある住宅に隣接して農地を持つような住民の場合、住宅は除染されて避難指示が解除される。だが、土地の一部は除染されたものの、拠点外にあるため利用はできない。

 復興拠点外を巡り、政府は帰還意向のある住民の建物や土地などを除染して避難指示を解除する方針だ。しかし復興拠点に隣接して除染されたが、拠点外にある土地の扱いは不透明だ。

 内閣府原子力被災者生活支援チームの高砂義行参事官は5日の説明会後の会見で「厳密に言うと(復興拠点の避難指示解除と拠点外の除染方針の間で)やや落ちてしまう可能性がある。現状の制度で読めないなら課題として考えなければいけない」と語り、制度のはざまに取り残される可能性を指摘した。

 固定資産税減免、町が支援

 大熊町は、避難指示の解除に伴って復興拠点内を対象に課税される固定資産税の減免措置の考え方を示した。今年中に避難指示が解除された場合、2023年度から課税されるが、国の制度と組み合わせて3年間は全額免除、26年度は2分の1の課税とする。避難指示の解除後は、地方税法の規定に基づき解除の翌年度から3年間、2分の1が減額される。23~25年度がこの期間に当たり、町は条例で残りの2分の1を減免する。26年度からは地方税法に基づく減額は終了するが、2分の1を町条例で減免を予定しているため、町民負担は2分の1となる。

 町によると、先行して避難指示を解除した町内の大川原地区と同じ対応としたという。