救出古文書、解読進む 大熊帰還困難区域、町教委に専門家協力

 
古文書の分類や目録作りについて意見を交わす菅井さんと西村教授(右)

 大熊町教委は、国文学研究資料館の西村慎太郎教授ら専門家と連携し、東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となった町内の旧家が解体除染されてしまう前に、保管した古文書の整理を進めている。古文書は約2000点に及び、江戸時代の浜通りの物流を解明できる貴重な資料とされる。8日、町内の旧大熊町公民館で行われている作業の状況が報道機関に公開された。

 古文書があったのは帰還困難区域内の中野家で、2019年12月~20年2月に家屋内を調べ、町教委が保管した。

 中野家は、江戸時代の物流拠点の一つの「熊川宿」を管轄する相馬中村藩の武士だった。このため荷物の運搬やサケの簗(やな)場などに関する資料が多数残されていた。17世紀中頃から大正時代までの文書とみられ、中には常磐線の敷設に関わる資料も確認された。

 8日の作業では、町教委で社会教育係を務める菅井優士さんや西村教授らが文書を一枚一枚分析し、内容や年代、書いた人物などを記録する目録作りに取り組んだ。2人が手に取ったのは、同藩の武士が江戸に行く際に馬の手配を命じた文書。原町、浪江、小高など現在も残る地名が記されていた。西村教授は「浜通りの物流関係の資料は戊辰戦争で失われている。保存しなければ失われてしまうところだった」と貴重さを指摘する。

 古文書は町に寄贈されており、郷土資料としての活用を検討している。

 図書館蔵書の譲渡「第2弾」

 大熊町は20~22日、特定復興再生拠点区域(復興拠点)整備の一環で解体する町図書館の蔵書を希望者に無償譲渡する。同館は「東京電力福島第1原発事故で他の自治体にお世話になったお礼」として、5月27~30日に広く大熊の本の利活用を呼びかけた。好評だったため、第2弾を企画した。

 無償譲渡は本のリサイクルと位置付け、あくまで個人の読書活動に役立ててもらうことが目的。個人向けは今回が最後となる。

 参加には事前申し込みが必要。17日までに電話で申し込む。期間中は午前10時~正午、午後1時30分~同3時30分の2回に分け、各回先着50人で受け付ける。

 1人当たり50冊を上限に譲り渡す。5月に本をもらった人は、今回は参加することができない。同館は約13万点の蔵書を誇っていたが、原発事故で閉館を余儀なくされた。申し込みは町教委教育総務課(電話0240・23・7194、平日の午前8時30分~午後5時15分)へ。