「創薬医療分野」貢献へ 福島医大・近代医学教育150年シンポ

 
地方医療と先進医療にどう貢献するかをテーマに開かれたシンポジウム=11日午後、福島市

 福島医大と同大医学部同窓会は11日、福島市で本県の近代医学教育150年を顕彰するシンポジウムを開いた。基調講演した竹之下誠一福島医大理事長・学長は、来年4月に設立予定の福島国際研究教育機構を巡り、医大として創薬医療分野などで構想の中核を担う貢献を果たし「感染症予防と治療薬を日本、世界に発信していく」と語った。

 機構は浜通りに新産業を生む福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想に位置付けられる。政府が掲げる五つの研究テーマのうち、竹之下氏は放射線科学・創薬医療と原子力災害に関するデータや知見の集積・発信の分野で参画できると説明した。

 具体的には、医大が新型コロナウイルスに感染して回復した人の血液から取り出した、感染阻止に有効な中和抗体の一つ「IgA抗体」を軸とした抗体医薬品の開発などを挙げ、機構設立後、国や県、県内企業などと連携し、感染症予防と治療薬の拠点化を実現させたいとした。特別発表した文部科学省の森田正信高等教育局審議官も、先進的な研究に取り組む医大に対し「(機構の)軸になることが期待される」と述べた。

 シンポジウムは、1871(明治4)年に白河医術講議所が開設されて以来、本県の近代医学が150年を迎えたことを記念して開催。近代医学の伝統が福島医大に引き継がれる中、「地方医療と先進医療にどう貢献するか」をテーマに行われた。会場出席とオンラインを合わせて約250人が聴講した。

 医大教員らが研究発表したほか、倪(ニイ)衍玄(イエンシエン)台湾大医学部長の記念講演が動画で流され、明治時代、台湾総督府医院長に就くなど「台湾医学衛生の父」とたたえられた、いわき市出身の医学者高木友枝などについて紹介された。

 会場には、福島民友新聞社が同大医学部同窓会と協力して連載した「ふくしま近代医学150年 黎明(れいめい)期の群像」の記事が掲示された。

 国際研究機構に「恩返し」 竹之下理事長講演

 福島県が経験してきた歴史は「元通りに復元する」のではなく、将来を見通した復活にチャレンジする歴史だった。困難な状況に対し、しなやかに適応して未来を切り開く力こそ、私たちのDNAだ。

 福島医大の命題は、福島国際研究教育機構にいかに参画するかだ。(五つの研究テーマのうち)「放射線科学・創薬医療」と「原子力災害に関するデータや知見の集積・発信」の分野に参画できると思っている。感染症予防と治療薬を日本、世界に発信していく。

 医大は震災と原発事故後の復興の取り組みに加え、新型コロナウイルス感染拡大後は、医療提供体制の福島モデルの構築、抗体医薬品の開発などに取り組んできた。最も大事な人材育成にも取んでいる。震災後、世界中からたくさんの応援をいただいてきた。(機構に)参画することで少しでも恩返ししていきたい。