大熊、7月にも行政区別説明会 帰還意向の確認実施へ

東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、大熊町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域の帰還を巡る住民説明会が11日、大熊町といわき市で始まった。政府は双葉町と同様に、住民が帰還意向を示した地点を2020年代中に複数回に分けて避難指示を解除していく考えを示した。7月にも行政区別の説明会を開き、今夏に帰還意向確認を実施する。24年度に除染を始め、避難指示の解除につなげる。
帰還意向の確認などの流れについては、行政区別の説明会の後、拠点外の住民ら約750世帯に意向確認の書面を郵送、約1カ月間の回答期間を設ける。政府は町や行政区長と相談の上、本年度中に除染範囲の原案を作成する。
説明会では、政府方針について住民から「帰らない人の土地と家屋の取り扱いはどうするのか」「まずは除染をしてから意向を聞くべきではないか」などの声が上がった。大熊町会場に訪れた女性(74)は「家や畑は荒れ、線量も高いまま。これでは帰りたくても帰れない。震災から11年が過ぎて夫は80歳になった。大熊の家がどうなるのか一刻も早く答えを出してほしい」と訴えた。
説明会終了後に報道陣の取材に応じた吉田淳町長は「帰りたい人もいるが、帰ることを諦めている人もいると痛感した。今後の説明会でもさまざまな立場から幅広い意見が出てくるだろう」と述べた。
大熊町の復興拠点外に関する住民への説明の場は初めて。新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていた。この日は大熊町で75人、いわき市で84人が参加した。最終日の12日は会津若松、郡山の両市で開かれた。
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