最高裁、国の責任に「統一判断」 原発集団訴訟、6月17日判決

 

 東京電力福島第1原発事故の避難者らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は17日、国の責任の有無について初めての判決を言い渡す。同種の訴訟は全国で約30件あり、福島、千葉、群馬、愛媛の4訴訟について最高裁が統一判断を示す。国が巨大津波による事故を予見し、対策を講じていれば防げたのか。事故から11年がたち、訴訟は大きな節目を迎える。

 東電の賠償責任は3月に確定し、賠償総額は4件で計約14億5000万円。国の責任が認められれば、国が東電と共に支払う。同種の集団訴訟や7月に判決を控える株主代表訴訟、旧経営陣の刑事責任を問う強制起訴控訴審などにも、最高裁の判断が影響を与えそうだ。

 4件とも国が巨大津波を予見し、対策を講じていれば事故を防げたかどうかが主な争点になっている。その根拠となるのが、国が2002年に公表した地震予測「長期評価」。高裁判決では判断が分かれ、群馬訴訟のみが長期評価の信頼性を否定し、福島、千葉、愛媛の各訴訟は認めている。

 最高裁で開かれた弁論では、原告側は長期評価などを基に原発の敷地高を超える津波が到達するとの試算などから、国は津波を予見できたと主張。国側は、長期評価は専門家の中でも懐疑的な意見があり「原子力規制に取り入れるべき精度はなかった」と反論した。

 津波予見時期、判断に注目 一橋大大学院・下山教授

 原子力法に詳しい一橋大大学院の下山憲治教授(行政法)は「原発の敷地高を超える津波が来ることを国が予見できた時期を、最高裁がどう判断するか」に注目しているという。国の責任を巡り判断が分かれた、これまでの判決について「(国が)巨大津波を予見できた時期にばらつきがある」と指摘した上で「被害を防げたかどうかを含め、最高裁が一定の方向性を出すのではないか」とみている。

 また下山氏は、国が東電に対策を講じさせるべきだったのかどうかの重要な判断材料として長期評価の信頼性を挙げた。信頼性が高ければ「早く津波対策を命令し、余裕を持って津波対策ができる」、低ければ「具体的な検討が必要になり、命令が遅れて対策が間に合わない」との結論につながる可能性があると述べた。