業者不足...住宅も店舗も進まぬ復旧 3月福島県沖地震から3カ月

 
樋口さんの住宅兼店舗の瓦屋根はまだ応急復旧の状態。瓦が落ちる被害を繰り返さないよう、トタンに替えるか検討しているという=国見町

 本県沖を震源に最大震度6強を観測した3月の地震から16日で3カ月となった。大きな被害が出た県内の被災地では、業者の不足などもあり住宅や店舗の復旧は十分に進んでいない。梅雨に入り、新たな災害への備えも必要になる中、被災者からは「支え合うしかない」との声が漏れる。

 「3カ月がたつけど、修理はこれから」。地震で震度6強を観測し、多くの住宅被害が出た相馬市尾浜の松川地区で美容室を営む寺島たけさん(69)は、そうため息をつく。自宅兼店舗は激しい揺れで壁が破損。休業後、少しずつ常連客を受け入れ、地震から20日ほどしてやっと通常営業を再開できた。だが、壁の亀裂など店内には激しい地震の傷痕が残る。「仕事はできるけど、見栄えが悪くてね」

 仕事中の常連客との会話も、家屋の罹災(りさい)証明や保険など、ついつい地震の話題に。状況を打ち明け合っては「うちよりもひどい」「お互いに大変だ」と慰め合う。

 髪を整える時間は、常連客にとって気持ちを切り替えたり、日常を取り戻したりする貴重な時間。「早く店を直して、お客さんにもっと安心してもらいたい」と寺島さんは願う。

 市によると、市内の住家被害は、昨年2月の本県沖地震を大幅に上回る。9日時点で半壊以上の住家は1031棟に及び、昨年の8倍を超えた。市内では、屋根をブルーシートで覆い、修理を待つ住宅が少なくない。松川地区(中村東部4区)の区長を務める早川武見さん(72)は「屋根のブルーシートが破れかけていて、もう一度かけ直す必要がある家もある」と梅雨入りに心配を募らせる。早川さんの自宅も内壁やサッシ窓などが被害を受けた。「職人さんがいつ来てくれるか分からないが、我慢するしかない。みんな同じ状況だ。支え合って暮らしていかなければ」と話した。

 同様に震度6強を観測した国見町でも被災家屋の復旧は途上だ。「店のガラス戸は全部割れた。天井も落ちてきて、まだ片付けが終わっていない部屋もある」。同町のほんだふとん店店主、本田林一郎さん(72)は肩を落とす。昨年2月の本県沖地震でも被災したため、店の補強や補修をしたいが、業者もなかなかつながらず見積もりも取れていないという。

 食品店を営む樋口正利さん(71)は、瓦が被災した住宅兼店舗の屋根に今もブルーシートがかかったまま。補助金申請のやり方を確認しながら、必要な書類をそろえている。「資料がたくさんある。根気よくやらないとね」と苦笑いする。「瓦屋根はまだ応急復旧の状態。昨年も今年も瓦が落ちてきた。毎回繰り返したくないので、今回はトタン屋根に替えようか検討している」と話した。

 復旧を担う業者側も手いっぱいの状況だ。同町の工務店サイトウホームの斎藤規矩雄社長(38)は「地震の復旧作業以外にも増改築などの通常業務がある。屋根の応急復旧の依頼は終わったが、壁の補修などは施工に入れていない」という。原油の価格高騰による建築資材の値上がりにも頭を悩ませている。

 県内建物被害3万棟に迫る

 県が15日にまとめた3月の地震の被害状況によると、建物の被害は計2万9771棟に上り、3万棟に迫っている。すでに昨年2月の地震被害を上回っている上、発生から3カ月が経過してもなお、件数は増え続けている。

 建物被害の内訳は、住宅が全壊147棟、半壊3343棟、一部損壊が2万4044棟。非住家は公共建物350棟、その他が1887棟となっている。

 人的被害では、1人が死亡し、9人が重傷、92人が軽傷を負った。県管理道路では甚大な被害を受けた国道399号の伊達橋など3カ所で通行止めが続いている。