「食用ナメコ」...故郷は山都 国内流通の99%、1株から派生か

 
喜多方市で採取された野生株から派生したものが流通量の大半を占めている可能性が高いことが分かった菌床栽培ナメコ

 食用ナメコの起源は喜多方市山都町―。国内流通量の99%を占める菌床栽培用の食用ナメコの菌株が、60年前の1962(昭和37)年に喜多方市山都町で採取された単一の野生株から派生した可能性が高いことが15日、分かった。福島大を中心とする研究グループが、流通している食用ナメコの遺伝解析で明らかにした。

 同大共生システム理工学類の平尾章客員准教授(50)、兼子伸吾准教授(44)、元県林業研究センター副所長の熊田淳氏(63)らの研究チームによると、ナメコの国内生産量は年間約2万トンでその99%が菌床栽培され、年間を通じて出荷されている。先行研究で、菌床栽培の菌株は62年に県が山都町で採取した野生の「F27株」に由来し、品種改良で全国に広がったことが指摘されていた。

 研究チームは、遺伝解析で系統や血縁関係を分析する方法を開発。国内の野生株73サンプルと、栽培株や流通品50サンプルを調べた。その結果、野生株は遺伝的に多様だった一方、栽培株や流通品は一つの遺伝的系統にまとまって極めて近い血縁関係にあり、国内のほぼ全ての菌床栽培株はF27株に由来すると裏付けた。研究成果は、日本菌学会の英文誌「Mycoscience」誌で発表された。

 研究に取り組んだ兼子准教授は「F27株が各地で使用されるようになった経過を遺伝解析で示した。本県の先人の地道な研究が60年たって光が当たった」と語った。また熊田氏は「驚きの結果といえる。野生株で遺伝的な多様性が確認されたため、野外に生育しているナメコにF27株を超える優良株が存在しているかもしれない」とする。

 食用キノコの種菌の開発・製造販売「キノックス」(仙台市)によると、ナメコは、自然栽培が主流だった頃、本県で開発された空調栽培に適合するF27株の特性に各メーカーが目を付け、品種改良がなされて、全国の栽培業者に広がっていったという。