処理水、風評...不安募る県民 原発集団訴訟・最高裁判決

 

 東京電力福島第1原発事故の集団訴訟で、国の責任を認めなかった最高裁判決。原発事故の被災者やいまだ根強い風評被害に苦しむ県民は、判決をどう受け止めたのか。

 「私たちが生活できなくなった原発事故に、国の責任がないんですか」。楢葉町のパート従業員小沢久瑠美(くるみ)さん(32)は地域の根幹を揺るがした事故の記憶から、言葉に力を込めた。「事故がなければ、そのまま生活ができていた。責任はゼロではないでしょう。そのあたりをみてもらいたかった」と判決を受け止めた。同じ楢葉町の主婦高木めぐみさん(38)も「国の責任が認められないなんて、とても納得できない」ときっぱり言い切った。

 帰還困難区域の浪江町赤宇木から福島市に避難する石井絹江さん(70)は避難先でエゴマの栽培・加工などを手がける。判決に「すっきりしない。国の責任を認めてほしかったが、避難者を突き放すように感じた」と肩を落とす。国の責任が否定されたことに「復興や避難者への支援などはまだまだ終わっていない。こういった部分に判決の影響が出ないか心配しちゃうね」と話した。

 「原発事故は人災だ。故郷を追われた避難者が報われない」。いわき市の底引き網漁船「第3政丸」船長の志賀金三郎さん(75)は語気を強める。来春には福島第1原発で発生する処理水の海洋放出が控える。国の責任を認めなかった判決に「(海洋放出で)風評が再燃した場合、国は果たして責任を持つのか」と懸念を示した。

 西会津町のシイタケ農家三留良司さん(45)は、判決の影響が広がることを心配する。「会津地方は直接的被害はなかったが、農産物などの風評被害に苦しんだ。今回の判決が今後どのような影響を与えるのか。正直これからが不安だ」