原発事故・生業訴訟、光求めた9年 原告最大3850人参加

東京電力福島第1原発事故後に避難住民らが国や東電に対して相次いで起こした集団訴訟は、4件について初の最高裁判断が示されたことで、一つの節目を迎えた。このうちの一つで原告数が最多の福島(生業(なりわい))訴訟の裁判は、2013(平成25)年の提訴から9年に及んだ。その間、さまざまな事情を抱えた原告たちが法廷で思いを訴え続けてきた。
原告3550人の福島訴訟は、原発事故で避難指示を受けた浪江町や南相馬市などの800人が、古里を事故前に戻す原状回復を求めて福島地裁に提訴したことに始まる。原告は徐々に増え、最大時には3850人が裁判に加わった。
福島地裁、仙台高裁で争われた一、二審の意見陳述。「国と東電には被害に遭った住民の声にしっかりと耳を傾けてほしい」(伊達市・20代女性)、「原発事故で全てが奪われた」(相馬市・70代男性)。法廷に立った原告の代表は、古里を失った苦しみや避難生活で絶たれた人とのつながりを言葉にしてきた。裁判官が被災地に出向いた際には、浪江町や富岡町などの原告の自宅や小中学校、町役場で、被害の現状を直接伝える機会もあった。最高裁での意見陳述を含め、審理の合計は35回に上った。
一連の裁判では、東電への賠償責任が確定した一方、17日の最高裁判決で国の責任は認められなかった。原発事故から11年。原告の高齢化も進み、判決を待たずに110人以上が亡くなった。福島訴訟の原告団は、「全ての住民の被害救済」を目標に訴訟に取り組んできた。原告団らは、訴訟後も被災者の救済を実現するため活動を続けていくという。
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