【原発訴訟・最高裁判決の余波】原告「被災者救済へ団結」

 
最高裁前で集会に参加する原告ら=17日、都内

 東京電力福島第1原発事故の避難者らが国や東電に損害賠償を求めた福島(生業(なりわい))など4件の集団訴訟上告審で、国の賠償責任を認めなかった最高裁判決から一夜明けた18日、原告たちは複雑な胸の内を明かした。

 「やはり納得できない」。南相馬市小高区から相馬市に避難した福島訴訟の原告の一人、志賀勝明さん(73)はその思いを語った。

 判決の数日前に新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者となり、最高裁に向かうことを断念。判決は自宅にあるテレビのニュースで知った。力が抜けるような思いとともに、怒りが湧いてきたという。「国は津波対策を講じるよう全く取り組んでいなかったのに、対策していても無駄だったなんて言えるのか」

 志賀さんは小高区で漁師として生計を立てていたが、原発事故で漁ができなくなり廃業した。南相馬市原町区の借り上げ住宅で6年間生活。その後、相馬市に移住した。漁師を離れて10年になる。「毎日仕事に出るから漁師は務まるもの」。失った月日の大きさを痛感する日々を送っている。

 最高裁判決で一つの結論が出た今、志賀さんは「何ができるか分からないが、このまま諦めるわけにはいかない」と話し、続いている同種の集団訴訟の行方を見守るつもりだ。

 「事故の責任を含めて真実が知りたい」との思いから最高裁まで足を運び、判決内容を聞いた福島訴訟の原告の一人、石川町の自営業熊井利治さん(72)は「誰でも分かることだと思うが、この判決はおかしい。判決を起爆剤として原告団で団結し、被災者救済のために諦めないで闘う」と話した。

 「それでも原発を動かし続けるのかという『ボール』を、最高裁判決は社会に投げかけたと思うべきだと思う」。17日の判決後、福島訴訟の原告代理人を務める馬奈木厳太郎(まなぎいずたろう)弁護士はこう話し「国は何もしなくてもいいと最高裁は伝えたいのか。私たちは受け入れるわけにはいかない」と語気を強めた。

 原子力政策を推進してきた国に対して、原発事故の責任を求めてきた原告たち。9年余りにわたる訴訟が一区切りを迎え、ある原告は「国の責任が示されることで、一つ前に進めると思ってきたのに」とやり場のない思いを強くしている。