相双漁協組合長に今野氏 総代会、震災後初の売上高20億円超

 
漁業復興への思いを語る今野組合長

 相馬双葉漁協は18日、相馬市で総代会・理事会を開き、任期満了に伴い立谷寛治組合長が退任し、後任に同漁協拡大操業委員長などを務めた今野智光氏が就任した。任期は同日から3年。

 今野氏は相馬市出身。2016(平成28)年から同漁協理事。全国海区漁業調整委員会連合会副会長も務めている。副組合長には菊地昌博氏を再任、常勤理事に同漁協参事を務めていた渡部祐次郎氏を新任した。常勤の理事を2人から1人とし、これまで常勤だった組合長を非常勤とする定款変更も承認された。組合長の負担軽減を図り、漁業に従事しながら職務を果たせるようにする。

 総代会では、21年度の水揚げ数量が3943トン(前年度比59トン増)、売上高が20億5200万円(同比3億9700万円増)となったことが報告された。売上高が20億円を超えるのは震災後初めて。

 底引き網船で、国の「がんばる漁業復興支援事業」を活用して水揚げ量が順調に伸びた。小型船では主力のコウナゴ漁を自粛、シラスも水揚げ量が減少したが、トラフグやタチウオなど高単価の魚種が多く水揚げされた。ただ、震災前に比べると数量は19.7%、売上高は27.3%にとどまっている。

 魅力ある漁業残していく

 相馬双葉漁協組合長に就任した今野智光氏(63)に、漁業復興への思いを聞いた。

 ―就任の抱負を。
 「底引き網船に加え、来年1月から小型船約100隻も国のがんばる漁業復興支援事業に取り組む予定だ。参加する隻数も多く、全国的に注目される事業。ぜひとも成功させ、漁業復興の足掛かりにしたい」

 ―復興に向けた課題は。
 「処理水の海洋放出という大きな問題に直面している。相双地区の漁業者にとって自分たちの庭先で起きるような問題だ。国などに漁業者の意見をしっかりと届けていく。また、震災後取りやめている他県沖での操業再開も大きな課題だ」

 ―水産資源の確保は。
 「水揚げ拡大を進めるが、目先の利益を追求するのではなく、データに基づいた資源保護を進める。5年、10年先を見据え、若い後継者に魅力ある漁業を残していく」

 「若い人に託す」 退任の立谷氏

 相馬双葉漁協組合長を退任した立谷寛治氏(70)は18日、福島民友新聞社の取材に「本格操業に向けた取り組みや処理水を巡る問題について、皆さんの協力を得て対応してきた。漁業復興を若い人たちに託したい」と述べた。

 立谷氏は、前組合長の死去に伴い、2017(平成29)年に組合長に就任。2期5年間、相双地区の漁業者のトップとして震災、原発事故後の水揚げ拡大や風評払拭に取り組んだ。