祭りの伝統継承...試行錯誤 七行器行列「改めて意義考える時」

 
当番の御党屋組に引き継がれる神事や祭事の慣例が書かれた書物に目を通しながら、伝統の継承へ思いを新たにする細井さん

 本県でこの夏、新型コロナウイルスの影響で2年にわたって中止された祭り・伝統行事を3年ぶりに復活させる動きが相次いでいる。背景には、感染状況が落ち着いてきていることのほか、これ以上中止が続くと伝統を従来の形で継承することが困難になるとの関係者の危機感がある。「2年の空白」を乗り越えて伝統をいかに守るか、試行錯誤が続いている。

 2年にわたって行事の大幅な縮小を余儀なくされた南会津町の国指定重要無形民俗文化財「会津田島祇園祭」。今年の7月は、メイン行事の「七行器(ななほかい)行列」が3年ぶりに再開する見通しとなった。

 行列は、行器と呼ばれる器に入れたお神酒や赤飯、サバなどのお供え物を神前に献上する神事。各地区の住民で構成する御党屋組(おとうやぐみ)が、数百年にわたって形を変えることなく伝統を紡いできた。ただ今年は、華やかな花嫁行列は行わず、感染対策を講じながらかみしも姿の御党屋組の男衆のみで行列をつくる予定だ。7月22日から3日間の祭り期間中は飲食を伴う神事も行わない。

 祭りを受け持つ御党屋組の田出宇賀(たでうが)神社党本(とうもと)の細井信浩さん(50)は、「高齢化や人口減少など、会津田島祇園祭が抱える課題がコロナ禍によって顕在化した」と実情を語る。

 神事、祭事は大きな労力を必要とするが、御党屋組の人数は年々減少傾向にある。このため、2年にわたる簡略化をきっかけに、「神事の一部は(コロナ収束後も)省略していいのではないか」という声が聞かれるようになったという。細井さんが関係者と協議を重ね、七行器行列の限定的な復活にこぎ着けたのは、コロナ禍の影響で祭りの形態が変わってしまうかもしれないという懸念があったためだ。「数百年前の神事を当時の形のまま見られることに価値がある。祭りを存続させる意義について、改めて考えるべき時に来ていると思う」と意見する。

 感染対策を講じながら伝統行事を次の世代につなごうと、各地で模索が続く。下郷町の大内宿では7月2日、半夏(はんげ)祭りが3年ぶりに開催されることになった。白装束に黒烏帽子(えぼし)姿の地元青年らが練り歩くが、今年は屋台の引き手を地元小学生のみにするなど参加者を限定。飲食を伴う神事や会食も控えることにした。

 大内区長の佐藤一夫さん(57)は「住民によっては祭りや行事は面倒かもしれないが、だからこそ地域が心を一つに取り組むことができるという側面がある」と指摘。今回は観光誘客は抑制しつつ、主に地域住民のために開催する方針だ。

 三春町でお盆の時期に行われる「三春盆踊り」は、地域の小学生らがたたく太鼓の音色に合わせて参加者が踊る。昨年、一昨年は中止となったが、主催団体の一つ、みはる観光協会の幕田勝寿会長(83)は子どもたちへの伝統継承へ意欲を口にする。「子どもたちは(太鼓演奏の)勘を取り戻すのは大変だろうが、練習をすれば徐々に慣れる。三春滝桜の開花シーズンに次いで地域が盛り上がる行事を絶やしたくない」