近くなった首都圏、速さと利便性追求 東北新幹線23日開業40年

 
出発式でテープカットし、開業を祝う関係者=1982年6月23日、福島駅(福島民友新聞社撮影)

 東北新幹線は23日、開業から40年を迎える。1982(昭和57)年6月23日に大宮―盛岡間(505キロ)が開業し、県内にも高速鉄道で移動する時代がやってきた。首都圏が「日帰り圏内」になり、新たな交流が生まれ、さまざまな恩恵をもたらした。東北新幹線の開業は、県内の暮らしや経済を大きく変えた新たな時代の幕開けだった。

 「新幹線がつながり、人の流れが変わった」。こう話すのは、福島市のJR福島駅近くの紳士服うめみやの店主梅宮均さん(75)。店は同駅西口から徒歩で2、3分ほど。開業に伴い西口の整備が急速に進んだことから、開業後の変化を身近に感じてきた一人だ。

 「新幹線を使って福島の観光や競馬、温泉に来るようになった」。特に県外から訪れる人が増え、それまで付き合いがなかった人も来店するようになったという。「東京から出張でやって来て、スーツを買ってくれたり、仕立て直しをお願いしてもらったりする人もいた。今でも付き合いがある人なんだ」

 特急列車だと約3時間20分かかっていた福島―上野間は、約1時間10分短縮され、首都圏が一気に近くなった。

 梅宮さんは「開業してから間もない頃には、ふらりと店に入ってきて何十万円もするスーツを購入する人もいた」と思い出す。

 開業は首都圏などへの出張のスタイルも変えた。元福島市職員で、現在は生涯学習施設「アオウゼ」で事業推進アドバイザーを務める柴田俊彰さん(72)は「新幹線開業で東京への出張は、日帰りが多くなった」と開業に伴う変化を実感した。

 柴田さんが東京に向かう際、開業前まで上野行きの特急や急行が基本だった。そのため開業した当初、東京への出張の際に大宮駅で降りることに戸惑い「慣れていない大宮駅で10人のうち数人が、在来線への乗り換えではぐれてしまうこともあった。今では笑い話だ」と懐かしげに語る。

 東北新幹線はその後、東京駅などへ延伸。車両開発に伴い最高速度も向上した。最高速度は開業当時の時速210キロから、現在は320キロとなった。在来線の線路を走るミニ新幹線「山形新幹線」「秋田新幹線」も開業し、利便性はさらに向上した。

 柴田さんはこの40年を振り返り「東京まで乗り換えなくていいし、便利になった。開業で恩恵も受けたと思う。さらに注文するなら、もっと停車駅の少ない新幹線の本数を増やしてほしいかな」と話した。

 JR東日本、福島駅大規模改修

 JR東日本は、利便性を向上させるため、東北新幹線のさらなる高速化に向けて新型車両の走行実験をしたり、線路の大規模改修を進めたりしている。

 高速化に向けては、次世代新幹線「アルファエックス」の試験走行を重ねており、最高時速を360キロに進化させようと取り組んでいる。

 JR東が力を注ぐ大規模改修は、福島駅で行われている。山形新幹線が東北新幹線に合流するための新たな「アプローチ線」(1.3キロ)の新設だ。1本しかないアプローチ線を2026年度末までに、さらにもう1本増やす計画だ。

 目的は運行ダイヤの確実性を上げるためだ。山形新幹線と東北新幹線の連結、切り離しは福島駅の下りホームだけで行っている。そのため、上りは東北新幹線の本線を2度通過する「平面交差」が生じ、ダイヤが乱れた場合は東日本全体の運行に影響を与えていた。

 立体的な線路構造に変えることで平面交差を解消し、ダイヤが乱れた際に復旧時間を短縮できるようになったり、運行本数を増やしたりすることが容易になる。

 福島駅の佐々木高敏駅長は「完成すれば、よりスムーズな運行体系を取ることができ、ダイヤの改正ができる可能性が大きい」と期待を寄せる。

 「今後も夢乗せて」

 東北新幹線が開業した1982年に国鉄に入社した佐々木駅長。「(開業は)新しい時代の幕開けのように感じた」と振り返り、東北新幹線が移動手段にとどまらず、暮らしや経済を大きく変えてきた歩みを現場で見てきた。

 佐々木駅長は東北新幹線を含めたJRの路線について「これからは、いかに安全で安心なサービスを提供できるかが大事。首都圏との交流人口を増やすという面でも大きい。これからも鉄道が夢や希望を乗せて進んでいきたい」と話した。

東北新幹線23日開業40年

東北新幹線23日開業40年