犯罪被害者支援、条例制定進まず 福島県内では4市町村のみ

 

 犯罪被害者への情報提供や日常生活の援助などを盛り込んだ条例が全国の2割以上の市区町村ですでに制定されているのに対し、県内でこの条例を制定しているのが白河市、三春町、西郷村、広野町の4市町村にとどまっていることが5日までに分かった。専門家は、社会全体で犯罪被害者を支える体制づくりに向け、「条例制定に向けて早急に取り組んでほしい」と意見を述べる。

 県などによると昨年4月1日現在、32都道府県に加え、全国の2割超の市区町村が制定し、東北地方では秋田県が全市町村で制定されているという。

 本県は今年4月、「県犯罪被害者等支援条例」を施行した。同条例には、インターネットを通じた誹謗(ひぼう)中傷などの二次被害を防ぐため、被害者に対し途切れなくきめ細かい支援をすることや、被害者を社会全体で支えていくことが盛り込まれている。

 県は施行を受け、新たに転居費用などを支給する見舞金制度を創設するなど取り組みを進める。

 見舞金制度は、犯罪被害者を対象にした国の給付金制度は受給まで半年以上かかるのに対し、県の条例では居住地の市町村に申請すれば、早ければ1カ月程度で受給できる仕組みだという。

 三春町も今年4月に条例を施行。同町では一昨年5月、2人が犠牲となる殺人ひき逃げ事件が発生しており、町の担当者は「事件被害者の家族などのため、いち早い救済体制づくりが必要。条例があれば素早い対応ができる」と話す。

 福島大の生島浩特任教授(66)=非行・犯罪臨床学=は、県内市町村で条例制定の動きが鈍い背景に、条例についての理解の不足があると指摘する。三春町が県と同額の見舞金を支給することに触れ、「条例のある、なしで支援に差が生じる恐れがある。被害者支援を人ごとではなく、自分ごとと考えるべきだ」と訴える。