夏休み目前...観光業、コロナ第7波懸念 県民割拡大も不透明

 
宿泊客の予約状況を映すパソコンの画面に目を落とす斎藤会長。「延期が決定すればキャンセルが相次ぐことは覚悟している」と話す=会津若松市の「庄助の宿瀧の湯」

 県内の新型コロナウイルス感染者が2日連続で200人を超え、流行の「第7波」への警戒が広がっている。政府は全国的な感染者増を受け今月上旬を予定していた「県民割」を全国に拡大する旅行支援策を延期する方針で、夏休みを控え、期待を寄せていた県内観光関係者は危機感を口にする。

 「先週までの大幅な感染者数減少に希望を持っていた。夏休みに向けて観光業が盛り上がると思っていた矢先でがっかり」。会津若松市の東山温泉「庄助の宿瀧の湯」の斎藤純一会長(72)はため息をつく。

 新型コロナ前、同旅館の宿泊者は首都圏からの客が7~8割を占めていた。それだけに宿泊費を補助する県民割の全国拡大には期待があった。客足は回復傾向にあり、感染者の増加がみられはじめた最近までは毎日一定数の予約が入り、7月中旬以降も予約で埋まってきていたという。現時点で大きなキャンセルの動きはないというが、「県民割の拡大を見越して予約していた宿泊客も多いはず。延期が正式に決まればキャンセルが相次ぐことは覚悟している」と胸の内を明かす。旅館との取引業者にも影響が広がることも懸念しており、「せめて延期にとどめてもらって、秋ごろには開始してもらいたい」と話した。

 ほかの温泉街でも状況は一緒だ。福島市飯坂町・穴原温泉の老舗旅館吉川屋。営業部販売促進課の梁瀬琴美さん(29)は「夏休みを中心に家族や県外の方々が数多く訪れると期待している。カヤックやモモ狩りなど体験プログラムも組み入れファミリー層を迎え入れる考えだが、延期が決まれば正直、動きにくくはなるだろう」と危機感を募らせる。都道府県が実施している「県民割」は追い風だが、「(期待が大きい全国拡大の)延期が決まれば、旅行ムードがまた冷え込む可能性がある」と懸念を示す。

 16日に海開きを控える楢葉町の岩沢海水浴場。12年ぶりとなる海開きは復興に歩む町のにぎわい創出として期待されているが、気がかりはコロナの感染再拡大だ。海水浴場を運営する町振興公社の担当者は「施設の復旧工事などを終え、ようやく再開できる時なのに、これ以上感染が拡大しないことを祈るだけだ」と話す。

 屋外のため海水浴客が感染するリスクは高くないとするが、「感染拡大で県外からの客足が遠のかないか心配だ。まん延防止等重点措置などが適用されたら海水浴場の閉鎖も視野に入れないといけない」と心配する。

 知事「再拡大に転じている」

 内堀雅雄知事は7日の県感染症対策本部員会議で、県内の新型コロナウイルスの感染状況について「再拡大に転じている」との認識を示した。県内では、1日当たりの感染確認が前の週の同じ曜日を6日連続で上回っているほか、感染力が強いとされるオミクロン株の派生型「BA・5」も初めて確認され「県内でも感染者数や重症者数の状況を注視する必要がある」と述べた。

 県アドバイザーの金光敬二福島医大教授は、県民に対して感染対策の再確認を呼びかけた上で「いつも一緒にいる方以外の人との接触や、いつも取る行動と違うような行動は、お控えいただくことが賢明だろう」と語った。