地産地消のCO2排出権取引 いわき商議所提言、森や沿岸活用

 

 いわき商議所は13日、温室効果ガス排出削減・吸収量認証に関する制度を活用し、市内の民有林や沿岸に生息する海藻藻場の二酸化炭素(CO2)吸収量を企業に販売する排出権(クレジット)取引の実施などを盛り込んだ提言をまとめた。県内最大の森林面積や海洋資源を生かして地元産業の活性化につなげる考えで、森林組合や漁協、市など関係団体に提案し、実現を目指す。

 同商議所と市内のエネルギーや製造関連企業、森林関係団体でつくる検討会が、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の取り組みについて報告書をまとめた。同商議所によると、民間主導による脱炭素社会実現への提言は全国的に珍しいという。

 提言では、森林や藻場の管理で得られるCO2の吸収量を地元企業を中心に販売し、販売益を海や森林の整備に充てる計画。同商議所は森林組合や市などに提案し、実施が決まれば民有林や藻場のCO2吸収量を算定、認証した上で、排出権を創出する。

 市内の土地の70%超は林野で、このうち民有林が66%の約5万8千ヘクタールを占める。沿岸では市漁協を中心にコンブやアラメなど藻場の再生に取り組んでおり、検討会はこれらのCO2削減効果に着目した。排出権取引の取り組みは全国で活発化しており、県でも県営林の排出権取引を実施している。海草や藻類が吸収する炭素も「ブルーカーボン」として注目され、横浜市などが先進的に行う。

 排出権の購入者は主に地元企業を想定する。検討会を担当する庄司秀樹同商議所副会頭によると、急激な脱炭素化は企業活動に影響を及ぼす恐れがある。庄司氏は「地元の海と山を生かした地産地消で、企業は排出権を獲得しながらスムーズな脱炭素化を図ることができる。関係機関と協議を進めたい」と期待した。

 報告書にはこのほか、小名浜港東港地区を起点としたアンモニアや水素の供給網整備、福島高専や産業技術総合開発機構と民間事業者による共同技術開発などを盛り込んだ。各機関と協議した上で実現可能な取り組みから順次進める考え。