須賀川・翠ケ丘公園「民の知恵」で変身 福島県内パークPFI第1号

 
温浴施設の整備予定地を示す菊地さんは「老若男女が集まる場をつくりたい」と意気込む=須賀川市・翠ケ丘公園

 民間の資金とノウハウを生かし、都市公園を多くの人が楽しめる魅力的な空間に再整備する自治体の動きが県内でも広がっている。パークPFI(公募設置管理制度)と呼ばれ、公募で選ばれた事業者がレストランやカフェの出店、新たな施設の建設などを含む公園全体の整備運営を担う。収益の一部は公園の維持管理費に還元される仕組みだ。事業者はビジネスチャンスの拡大、自治体は財政負担の軽減が期待されている。

 県内で初めて「パークPFI」を活用した公園となる須賀川市の翠ケ丘公園では、工事が着々と進んでいる。火祭り「松明(たいまつ)あかし」の主会場となる公園は、カフェや温浴施設、水場などが再整備され、本年度中に生まれ変わる。

 市中心部に位置し、市民に長年親しまれていた公園だったが、市民からは「薄暗く、普段のにぎわいがない」との声も上がっていたことから、市は民間の発想による新たな公園を目指し、全国的に活用が進む「パークPFI」の導入を決めた。

 公募に申し込み、事業者に選ばれたのは総合建設業「あおい」(須賀川市)だ。社長の菊地大介さん(49)は「公園は資源が豊富で、駐車場も複数ある。人を呼べるチャンスを感じた」と振り返り「自分たちの技術を生かせば、もっと魅力ある公園にできるはずと思った」と応募した理由を語る。

 約3ヘクタールの区域で工事が進んでおり、年間目標として来場者10万人、売り上げ2億円を掲げる。目玉の一つが約50年使われていた市営の施設を解体して新設する温浴施設だ。

 敷地内から湧く美肌に良いとされる温泉と流行のサウナを盛り込み、仕事帰りの人や家族連れを主な客層に見込む。「市中心部には、市民が集まれる温浴施設がなかった。気軽に温泉を楽しんでほしい」。菊地さんはそう願っている。

 今秋の開業を見込むカフェでは、地場産品や公園で栽培したハーブなどを使ったメニューを提供する。野鳥や野草を観察できる周囲の自然に調和した木目調の外観となる予定だ。

 池の周辺「学」の力

 池の周辺も変わる。日大工学部土木工学科教授の中野和典さん(54)に協力してもらい、池からくみ上げた水を自然の傾斜で流し、砂利や炭などで浄化し池に戻して水質を向上させ、憩いの空間もつくる。

 温浴施設やカフェなどで上げた収益は、今後の公園整備にも役立てられる。菊地さんは「県内最初の活用例として参考になるような、老若男女が集まる空間をつくりたい」と情熱を燃やす。

 開成山公園も制度活用

 郡山市は、パークPFIを活用し、開成山公園の再整備計画を進めている。本年度中に事業者を決定し、来年度から工事に着手する見通しだ。

 開成山公園は老朽化して改修の時期を迎えていたが、財源確保が最大の課題だった。そのため、整備費の削減が見込まれるパークPFIの活用を決めた。

 市は公園内を健康やスポーツ、自然との触れ合いなど四つのテーマに沿って整備を進める方針だ。市の担当者は「既存の良い部分を残しつつ、市民のニーズに応えられるよう取り組みたい」と話している。

          ◇

 パークPFI(公募設置管理制度) 公募で選定された事業者が都市公園に飲食店や売店などを設置運営し、収益を生み出しながら園路や広場を含む公園を一体的に整備する。2017(平成29)年の都市公園法改正で導入された。民間の資金やノウハウを取り入れた公園の利便性向上や自治体の財政負担軽減が見込まれる。昨年度末時点で全国の102カ所(オープン済みは39カ所)が活用しており、このうち県内1例目は須賀川市の翠ケ丘公園。