浪江の復興拠点、準備宿泊9月開始へ 通行規制緩和も検討

 

 浪江町の吉田数博町長は17日、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域で整備中の特定復興再生拠点区域(復興拠点)を巡り、準備宿泊を9月上旬から中旬までの間に開始する考えを示した。住民説明会で「秋のお彼岸前まで(には開始したい)」との町の方針に、明確な反対がなかったことを受けての対応で、政府や町議会と協議した後、準備宿泊の開始日を決定する見通し。

 浪江町の復興拠点は、町内の帰還困難区域のうち室原、末森、津島の3地区の計661ヘクタールで整備が進められている。準備宿泊は、住民が避難指示の解除後に古里での生活を円滑に再開できるよう、事前に自宅などで夜間を含め長期滞在することができる特例制度。吉田町長は準備宿泊の開始について17日の住民説明会後、報道陣に「(中山間地の)津島地区は冬期間が厳しい気候になる。できるだけ暖かい時期にしたい」と述べ、周知期間を挟み、9月開始の意向を示した。

 準備宿泊の開始に合わせて、復興拠点内の生活道路の通行規制緩和も検討されている。政府原子力災害現地対策本部の師田晃彦副本部長は「準備宿泊で一回一回通行証を取っていただくのは大変。なるべく負担の少ないやり方を町と相談したい」と述べ、先行して準備宿泊が行われた地区の事例を参考に早期緩和を目指す考えを示した。

 宿泊費を支援、親族らも対象

 また、町は震災から11年以上が過ぎ、自宅を解体してしまったり、住むために改修が必要だったりしている事例が多いことを踏まえ、準備宿泊を支援する制度を設ける。町内や隣接市町村の宿泊施設を利用する際、宿泊費の支払いが2000円程度になるよう、最大5000円を支援する。被災者の高齢化を受け、介添として準備宿泊に参加する他市町村に住む親族らの宿泊費も支援の対象とする。

 さらに、準備宿泊の開始時には、浪江地区で取り組んでいるデマンドタクシーの運行エリアを三つの拠点にまで拡大し、住民の移動手段を確保する。イオンによる移動販売についても、準備宿泊時にエリアを拡大できないか調整する。

 準備宿泊を巡る住民説明会は15、17日の両日、浪江町内と避難している町民が多い二本松市の2カ所で延べ4回実施し、45人が出席した。町は室原、末森、津島の3地区の復興拠点について、来春の避難指示解除を目指している。