農家と飲食店など直接取引 若松、需給マッチングアプリ導入へ

 

 会津若松市などは10月、野菜の地産地消促進に向け、市内の農家と飲食店、宿泊施設などが直接やりとりして売買する品目や価格を決める「需給マッチング」アプリを導入する。業者が仲介しない分、流通コストを抑えることができるのが特長。市は農家、飲食店双方の所得向上につながると期待する。

 市によると、現在は市内で生産された野菜の多くが業者などを通じ、都市部の市場に出荷されている。都市部を経由した地元産品を市内の飲食店が仕入れている場合もあり、流通コストの増加や鮮度の低下が課題になっている。

 アプリでは、農家と飲食店がそれぞれ売買を希望する品目と納品希望日、数量、価格などを登録。希望に合致するものがあればアプリ内で直接やりとりして詳細を詰める。取引が成立したら、専任の配達員が農家へ野菜を取りに行き、飲食店へ届ける。

 同市に拠点を置く凸版印刷(東京都)がアプリを開発した。同社によると、農家と飲食店が直接やりとりできるシステムは全国的にも珍しいという。同社は今月から実証実験を行っており、野菜の配送は青果仲卸の会津中央青果(会津若松市)が担っている。

 アプリでは傷が付いたり形が悪かったりして市場に出荷されない「規格外品」も取引できる。飲食店がケチャップやスープに使う場合などの利用が想定され、市は「規格外品の有効活用が進み、食品ロスの解消にも役立つ」としている。

 市は本年度、農家、飲食店それぞれ30社程度で運用を始め、アプリの使いやすさや配送までの流れなどを確認する。需要、供給がそれぞれどれほどあるかも確かめる。

 アプリの運営費や農作物の配送費には、国が地方自治体のデジタル化を支援する「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を活用するが、将来的には販売価格に配送料などを手数料として上乗せする形で賄う方針で、適切な手数料率も検討する。

 市の担当者は「農家の出荷状況が分かることで、飲食店は収穫量の多い野菜をふんだんに使ったメニューを考えることができる。農家にとっても、飲食店に団体客の予約がある時期が分かれば、それに合わせて野菜を出荷できる」とし「農家、飲食店の意欲向上にもつながる」と期待している。