残る課題「理解の醸成」 処理水海洋放出へ東電計画22日にも認可

 
東京電力福島第1原発の敷地内に並ぶ処理水の保管タンク(手前)=2月

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、原子力規制委員会は、東電が認可申請した放出設備の設置に向けた計画について、22日にも認可する。認可を受け、県や立地町が設置を了承するかどうかの議論が正念場を迎える。処理水の処分に向けた大きな節目となるが、いずれも海洋放出に必要な設備を設置するための手続きに過ぎず、放出の実施に向けては「理解の醸成」という大きな課題が残ったままだ。

 環境影響「軽微」

 規制委は5月、東電の設備設置に向けた計画について安全性に問題はないとする審査結果を了承した。海洋放出した場合の人や海産物など環境への影響が「極めて軽微」とする放射線影響評価も確認しており、更田豊志委員長は「健康への影響は到底考えられない」としている。

 22日は一般公募した意見を議論した上で、計画を認可する見通し。計画には、処理水を原発から沖合約1キロの地点で放出するための海底トンネルや放射性物質濃度の分析などに用いるタンクなど放出するための設備の設置が盛り込まれており、東電は、県と第1原発が立地する大熊、双葉両町の了承を得た上で本格着工する予定だ。

 本格工事へ着々

 東電は設備設置に向けた準備作業を進めている。第1原発敷地内では、処理水放出時に、放射性物質量の測定などに使用する水槽の基になる立て坑を掘削。海底トンネルを掘削するため地下水発生の有無についても調査している。

 沖合約1キロの地点では放出口となる穴を掘り終えた。周辺を石で整える作業を進めており、来月には完了する見込み。放出口となるコンクリート製の構造物は完成し、本格着工に備え別の場所で保管している。

 東電によると、準備作業は原状回復が可能なため認可、了承を必要としないという。東電は「来春の放出に向け、速やかに本格工事に移行できるよう進めていく」としている。

 地元了承焦点へ

 規制委が計画を認可すれば、当面の焦点は県と大熊、双葉両町による了承の可否に移る。

 了承は廃炉の安全確保協定に基づく手続きで、設備設置に不可欠な過程だ。第2原発の廃止措置計画についても昨年6月、県と楢葉、富岡両町が了承した経緯がある。

 ただ、第2原発とは異なり、処理水の海洋放出では漁業者らが強く反対している。政府の方針決定前後、柏崎刈羽原発(新潟県)で核物質防護上の不備が明らかになったほか、第1原発では設備トラブルが相次ぐなど、信頼を損なう事態も続いている。

 国、東電とも海洋放出方針の決定後、「国内外で理解醸成」を図ってきたとするが、理解が進んでいるとは言えない。県は「国は漁業者の理解なしに処理水の処分を行わないと約束をしている。その約束を守るよう求めていく」とくぎを刺した。(報道部・鹿岡将司)