国際研究機構初代理事長に金沢大前学長・山崎光悦氏

 
山崎光悦氏

 政府は22日、浜通りに整備する福島国際研究教育機構のトップとなる初代理事長に、金沢大前学長の山崎光悦氏(70)が就くと発表した。山崎氏は東京電力福島第1原発事故で被害を受けた浜通りの再生の中核を担う機構の運営を指揮する。

 山崎氏は機械工学が専門で、2014年4月から今年3月まで金沢大の学長を務めた。官邸で岸田文雄首相から理事長に指名された山崎氏は「福島県をはじめ東北の復興は大切な政治課題であり、機構への期待は大きい。ゼロからのスタートとなるが、浜通りにしっかりとした産業を創生できるよう全身全霊で取り組む」と決意を述べた。

 復興庁によると、山崎氏は学長在任中に生命科学分野などで世界トップレベルの研究拠点を形成するなど金沢大の発展に向けた改革を推進。国立大協会の副会長を務めた経験があり、全国の大学教授や研究者らを含め幅広い人脈を築いた。政府はこうした実績を評価し、理事長に選任した。

 山崎氏は、来年4月に予定される機構の設立時に正式に理事長に就任する。理事長就任までの間、復興庁参与として機構設立に向けた準備委員会に加わる。山崎氏は富山県出身。金沢大工学部卒、同大大学院工学研究科修士課程修了。同大理工学域長、副学長、学長を歴任し、現在は特別顧問を務めている。

 機構の具体的な立地場所は今年9月末までに決まる見通し。

 首相「福島に一流研究者を」

 岸田文雄首相は22日、福島国際研究教育機構の初代理事長に指名した山崎氏に対し「福島にまずは世界中から一流の研究者を集め、最先端の研究を行い、成果を産業化してほしい」と要請した。

 首相は官邸で山崎氏に辞令を交付した後、機構の在り方について意見を交わした。首相は「福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となる。日本の科学技術力の強化にもつながり、大いに期待が寄せられている」と機構設立の意義を強調。学長を8年務めた組織運営の手腕などを評価し「将来の科学技術を担う人材の育成に努め、学長としての豊富な経験を生かしてほしい」と激励した。

 西銘(にしめ)恒三郎復興相は22日の閣議後記者会見で「機械工学を専門に30年以上にわたり研究活動に取り組み、研究現場の実情や最新の研究動向に精通している。理事長にふさわしい人材で、大いに能力を発揮してほしい」と期待した。

 理事長の人選を巡り、復興庁は「マネジメント能力が高く、高度な科学技術の知見を有する人」を重視した。一方、地元からは本県にゆかりのある人材の起用を求める声も上がっていたが、西銘氏は「(山崎氏と)福島との関わりについては今の時点で承知していない」と述べた。

 知事「重要な前進」

 福島国際研究教育機構の初代理事長に山崎氏が指名されたことを受け、内堀雅雄知事は「機構の具現化に向けた重要な前進だ」とのコメントを出した。山崎氏について「金沢大学長の経験を生かしてリーダーシップを発揮され、世界最先端の研究開発やその産業化、将来を担う人材の育成を推進し、福島イノベーション・コースト構想のさらなる発展に貢献していただきたい」と期待した。

 創造的復興、立ち上がる姿世界に

 山崎氏は報道陣の取材に対し、浜通りの産業再生や将来を担う人材の育成に向けて決意を語った。

 ―岸田文雄首相からの期待の受け止めは。
 「機構はゼロからのスタートとなる。(首相には)学長としての実績を評価していただいた。世界トップレベルの研究と、(研究成果を課題解決に生かす)社会実装につなげるという難しい課題に取り組むが、大きな期待を感じた」

 ―「創造的復興」の中核拠点とされる機構の運営にどのように取り組む。
 「ロボットやエネルギー、スマート農業、放射線科学など5分野の研究に取り組む。廃炉を含め、福島が立ち上がっていく姿を世界に発信し、地域の創造的復興に貢献できればと考えている」

 ―被災地の将来を担う人材の育成をどのように進める。
 「地域で長く活躍してくれる若い人を育てていかなければならない。(地域の)小中学生や高校生、高専、大学、大学院の学生が地域に根付くような施策を考えていかなければならない。関係省庁と相談しながら模索していきたい」