総大将14歳言胤さん元服、いざ出陣 相馬野馬追きょう幕開け

 
初陣祝いの宴に参加する相馬言胤さん(中央)=相馬市・相馬中村神社

 国指定重要無形民俗文化財の相馬野馬追は23日、相双地方で幕開けする。開幕を前にした22日は相馬市の相馬中村神社で、旧相馬中村藩主・相馬家第33代当主相馬和胤(かずたね)さんの孫言胤(としたね)さん(14)の元服式が行われた。言胤さんは甲冑(かっちゅう)を身に着けて23日に初陣し、25日までの期間中、総大将として全軍を指揮する。

 相馬家の男子が総大将として初陣するのは33年ぶり。元服式では、大人の証しとして冠を着ける加冠の儀が行われ、武家の装束直垂(ひたたれ)姿の言胤さんが、烏帽子(えぼし)と腰刀を着用した。

 この後、境内で初陣祝いの宴が開かれ、言胤さんは「度重なる災害に見舞われ、疫病も続いている。そのような中、団結の精神を皆に示してほしい」と騎馬武者らを鼓舞した。

 行事を見守った言胤さんの父行胤(みちたね)さん(48)は「次の世代につなぐことができたうれしさはあるが、(総大将を譲ったことへの)ちょっとした寂しさもある」と話した。宇多郷騎馬会長の小川恵明さん(73)は、幼いころの言胤さんの姿を思い浮かべ「本当にたくましくなった。鎧(よろい)を着れば、さらにりりしくなるだろう。これから総大将を長く続けていただきたい」と願った。

 言胤さんは行事終了後の取材に対し、相次ぐ災害で被災した人や行事実施に向けた関係者の尽力を踏まえ「みんなの気持ちを考え、しっかりと自分のできることを全力でやっていきたい」と意気込みを語った。

 元服式を行った相馬中村神社は、本県沖を震源とする3月の地震で参道の石灯籠が全て崩れ落ち、太鼓橋も破損するなどの被害を受けた。復旧がほぼ完了した境内で行事を終えた氏子総代長の立谷三郎さん(59)は「元服式までに境内を整えることができ、本当にほっとした。応援いただいた方に感謝したい」と話した。

 歴代藩侯に武運願う

 歴代相馬藩侯墓前祭は22日、南相馬市小高区にある相馬藩菩提(ぼだい)寺の同慶寺で行われた。出陣する騎馬武者らが本番での武運長久と安全を祈願した。

 小高郷騎馬会幹部ら約30人が出席。螺役(かいやく)が歴代藩侯の位牌(いはい)に向かって礼螺(れいがい)を響かせ、小高区野馬追執行委員長の林勝典さんが「威風堂々と出陣することを誓うとともに、無事の帰還のご加護を賜りたい」とあいさつした。この後、騎馬武者らが焼香し、小高郷郷大将の松本充弘さんが「2年連続の規模縮小は非常に残念だったが、今年は力強く出陣したい」とあいさつした。

 初日は宵乗り競馬

 相馬野馬追は、新型コロナウイルスの影響で昨年まで2年連続で規模を大幅に縮小して実施しており、今年は3年ぶりの通常開催となる。23日は5郷の騎馬武者が出陣、南相馬市原町区の雲雀(ひばり)ケ原祭場地で宵乗り競馬を繰り広げる。

 24日には同祭場地で、甲冑競馬や神旗争奪戦の熱戦を展開。終了後、大熊町騎馬会は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から12年ぶりに町内に凱旋(がいせん)する。最終日の25日は同市小高区の相馬小高神社で野馬懸(のまがけ)を行う。期間中、福島民友新聞社の渡辺晃平浪江支局長が中ノ郷から騎馬武者として参加する。

 南相馬観光協会が「未馬」新デザイン

 南相馬観光協会は、相馬野馬追に合わせてオリジナルキャラクター「未馬(みま)」の新デザインを作成した。関連グッズの販売などに活用し、南相馬市の観光PRに役立てる考えだ。

 昨年7月に誕生したキャラクターで「伝統文化が衰退しつつある未来の南相馬市から、人の姿になって来た馬」との設定だ。同市出身のイラストレーターが新デザインを担当し、馬に乗り、力強く駆ける未馬の姿を描いた。

未馬の新デザイン馬に乗り力強く駆ける姿を描いた未馬の新デザイン