人馬一体、駆け抜けた 相馬野馬追開幕

 

 相双地方で23日に開幕した国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」。五郷の騎馬武者が地域の安寧や悪疫退散を願い、威風堂々と歩を進めた。

 おととしと昨年は新型コロナウイルスの影響で規模を大幅に縮小したが、今年は3年ぶりに通常規模での開催となり、総大将が出陣した相馬中村神社(相馬市)や総大将を迎えた北郷本陣(南相馬市鹿島区)では、古式ゆかしい儀式が行われた。

 迫力の走り、宵乗り競馬

 南相馬市原町区の雲雀ケ原祭場地に集まった五郷騎馬会の騎馬武者は、馬場潔めの儀式に続き、宵乗り競馬を行った。

 晴天の下、野袴に陣羽織姿の騎馬武者が白鉢巻きをなびかせながら、1周約1200メートルのコースを果敢に疾走。騎馬武者は古式にのっとった大坪流の手綱さばきを披露し、人馬一体となった迫力満点のレースを繰り広げた。会場には迫力の一瞬を撮影しようと、カメラを構えた観客が集まった。

コースを駆け抜ける騎馬武者たちコースを駆け抜ける騎馬武者たち=南相馬市原町区

 戦勝願い「三献の儀」

 初陣の総大将、相馬言胤(としたね)さんは出陣式に先立ち、相馬市の北三の丸にある相馬家屋敷で「三献の儀」に臨んだ。甲冑(かっちゅう)を身に着けた言胤さんは「打ちあわび」「勝ち栗」「昆布」の3品をさかなに3度、お神酒を飲み干すしぐさをして、戦勝を願った。

 礼螺(れいがい)に続いて、相馬中村藩の国歌「相馬流山」を全員で斉唱。屋敷を出発する際には、全力で戦う決意を示すため、言胤さんが杯を地面にたたきつけて割り、陣営を鼓舞した。

相馬流山を斉唱する言胤さん相馬流山を斉唱する言胤さん(右)=相馬市・相馬家屋敷

 北郷本陣で総大将訓示

 北郷本陣となった南相馬市鹿島区のかしま交流センター前では、総大将を迎える儀式が行われた。騎馬武者が総大将の動向を本陣に伝える伝令の後、総大将の相馬言胤さんが宇多郷の騎馬隊と共に本陣に到着。初めて副大将を務めた多田宏政さんら騎馬武者が武勲を誓った。

 言胤さんは騎馬武者らを前に「威風堂々と進軍し、武勲を挙げ、無事帰郷することを希望する」と訓示。騎馬武者たちは南相馬市原町区の雲雀ケ原祭場地を目指し、力強く出陣した。

総大将の動向を伝える騎馬武者による伝令総大将の動向を伝える騎馬武者による伝令=北郷

 沿道に初陣祝う横断幕 宇多郷

 総大将の相馬言胤さんを擁する宇多郷の騎馬勢は、相馬市の相馬中村神社で出陣式を行った。言胤さんは、相次ぐ災害や新型コロナウイルス禍を踏まえ「威風堂々と進軍してほしい。皆が日常生活に一日でも早く戻れるよう願う」と訓示、騎馬武者らと杯を上げた。

 大手門から出発した騎馬勢は市街地へ繰り出し、沿道には市民が詰めかけた。市連合商栄会は、言胤さんの初陣を祝い、3月の地震被害に対する支援に感謝する横断幕を沿道14カ所に掲げ、行列を迎えた。

初陣を祝う横断幕の前を通過する言胤さん初陣を祝う横断幕の前を通過する言胤さん=宇多郷

 150騎、一糸乱れぬ行軍 中ノ郷

 五郷最多頭数の約150騎を擁する中ノ郷騎馬会は、南相馬市原町区の相馬太田神社から出陣し、雲雀ケ原祭場地を目指した。

 威勢のよい騎馬武者の発声と馬のいななきが響く中、一糸乱れぬ行軍が繰り広げられ、沿道に詰めかけた観覧客が騎馬武者たちの勇姿に見入っていた。

出陣する騎馬武者たち出陣する騎馬武者たち=中ノ郷

 玉串ささげ成功を誓う 小高郷、標葉郷

 小高郷、標葉郷の両騎馬会は、南相馬市小高区の相馬小高神社で式典に臨んだ。

 幹部らが玉串をささげ、野馬追の成功を誓うとともに、3年ぶりの通常開催も祝った。騎馬武者たちは小高区内を堂々と行進し、同市原町区の雲雀ケ原祭場地を目指した。

出発する騎馬武者出発する騎馬武者=小高郷、標葉郷