駆け抜けた熱き3日間 相馬野馬追、3年ぶりの通常開催

 
戦国絵巻さながらに御神旗(中央の青い旗)を激しく奪い合う騎馬武者たち=24日午後、南相馬市・雲雀ケ原祭場地

 国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」は24日に南相馬市で呼び物の神旗争奪戦と甲冑(かっちゅう)競馬、25日には野馬懸(のまかけ)が行われ、3日間の日程を終えた。3年ぶりとなった通常規模での開催に、多くの見物客が詰めかけた。

 同市原町区の雲雀(ひばり)ケ原祭場地で行われた神旗争奪戦。上空に打ち上げられた花火から落下する御神旗を目指して騎馬武者たちが入り乱れ、旗を奪い合った。同市小高区の相馬小高神社での野馬懸では、御小人(おこびと)と呼ばれる若武者が跳ね回る荒駒を素手で捕らえ、会場を沸かせた。

 落馬上等、気持ちが大事

 【記者体験ルポ】2日目の24日は、5郷総勢350騎の行列から始まった。大勢の観客が沿道に詰めかける中、重さ約30キロの甲冑を身にまとい、馬を操縦しなければならない。変わらないのは武士としての心意気だ。「落馬上等。情けは御免」。喝采の野馬追通りを無事に駆け抜けた。

 合戦の舞台となる雲雀ケ原に到着し、神旗争奪戦に出場した。神旗が落ちる騎馬の群集に入り込めば神旗獲得の奇跡が起きるかもしれない。しかし、そんな淡い期待はすぐに打ち砕かれた。

 花火に馬が驚き、乗馬初心者の記者は暴れる馬を制御できずにいた。「駄目か」。下馬して落胆していると「その馬をよこせ」と先輩武者に言われ、馬を貸した。その歴戦の武者は馬の暴れを利用し、一気に群集の中に突っ込んでいった。

 「落馬して高価な甲冑を壊しても、大事なのは気持ちなんだよ」。そう先輩から再び気合を注入され、初の野馬追が終わった。騎馬仲間とねぎらい合うと、体のあちこちが痛み始めた。(浪江支局・渡辺晃平)

甲冑姿で行列に臨む記者甲冑姿で行列に臨んだ記者=24日午前、南相馬市