全国知事会、処理水対策訴え 風評払拭、復興強く後押し

 

 全国知事会は29日も奈良県で会議を開き、東京電力福島第1原発で発生する汚染水・処理水対策の徹底を盛り込んだ国に対する「東日本大震災からの復興を早期に成し遂げるための提言」を採択した。

 提言では、来春をめどとする処理水の海洋放出方針を踏まえ、新たな風評被害が生じる懸念があるとして、国が前面に立ち、万全な対策を講じることと、処理水に関する理解が得られるよう丁寧な説明を継続することを求めた。

 また処理水に含まれる放射性物質トリチウムの分離技術の研究開発機関を明確に位置付け、調査や研究開発を推進し、実用化できる技術が確認された際には柔軟に対応することも明記した。

 このほか第1原発廃炉の推進、原子力損害賠償の完全実施、国の総力を挙げた放射性廃棄物の処分なども盛り込んだ。内堀雅雄知事は報道関係者の取材に「処理水や溶融核燃料(デブリ)は日本の問題。全国知事会の対面の場で直接伝えられたのは非常に重要なことだ」と語った。

 全国知事会会長の平井伸治鳥取県知事は「政府の動きを見ながら風評被害を巡る問題など、できることがあれば内堀知事をもり立てていきたい」と述べ、知事会として本県の復興を支援する考えを示した。

 会議では、ロシアのウクライナ侵攻による物価高騰や新型コロナウイルス感染拡大を受け、国に地方支援の強化を求める決議も採択し、2日間にわたる討議を終えた。来年は山梨県で開かれる。

 人口減解決も課題 国際研究機構

 内堀雅雄知事は全国知事会議で、浜通りに設置が予定されている福島国際研究教育機構について「新しい地域社会モデルを浜通りから生み出し、全国に示していきたい」と述べ、人口減少など全国共通の課題を解決できる組織となるよう取り組む考えを示した。

 内堀知事は「わが国の科学技術力や産業競争力を先導し、経済成長や国民生活の向上に貢献する世界に冠たる拠点を目指す」として、機構がロボットやエネルギーなど5分野で研究開発を進めることを紹介した。

 震災と原発事故後、浜通りで人口が急減したことにも触れ、機構による最先端の研究開発や人材育成を通してさまざまな課題の解決を図っていくとした。