東北電、11月から値上げ 燃料高騰、法人や一部家庭対象

 

 東北電力は29日、燃料価格高騰を受け、11月以降に法人と一部の一般家庭向けなどの電気料金を値上げすると発表した。工場や商業施設、事務所ビルなど法人が契約する「高圧以上」は料金単価を引き上げる。一般家庭や小規模店舗などが利用する「低圧」は自由料金プランで燃料費の上昇分を転嫁できる燃料費調整制度の上限を廃止するため、実質的に顧客負担が増える見通しだ。

 高圧以上は現行の基本料金と電力量料金に一定額を上乗せした新たな料金単価を11月1日以降の契約から適用する。契約電力や使用電力量などによって異なるが、モデルケースで約16~18%の値上げを見込む。県内の対象は約1万件。

 低圧の自由料金プランは12月分の料金(11月検針日以降の電気使用)から、燃料費調整制度の上限を廃止する。6月分の料金から既に上限に達しており、上限を超えた分は東北電が負担していた。

 9月分の燃料費調整単価で試算した場合、上限をなくすと、標準的なモデル(契約電流30アンペア、使用電力量260キロワット時)の料金は約13%(1092円)増の9602円となる。県内の対象は「よりそう」などが付く自由料金プランの約27万件。

 低圧でも大半の一般家庭などが利用する「従量電灯B」などの規制料金プランは対象外となる。

 ロシアによるウクライナ侵攻で石炭や液化天然ガス(LNG)などの燃料価格が高騰。3月の地震で原町火力発電所(南相馬市)などが被災し、代替の電力を卸市場から調達する費用も膨らんだ。

 電気を売れば売るほど損失が生じる「逆ざや」が続き、東北電は2022年3月期連結決算で過去2番目の規模となる純損失1083億円の赤字を計上、経営環境が厳しくなっている。

 仙台市で記者会見した樋口康二郎社長(国見町出身)は本年度中に自己資本が東日本大震災時を下回る水準に悪化する見込みを示し、「安定的な燃料調達や電力設備の更新、修繕などへの投資を十分に行うことができず、電力の安定供給に影響を及ぼしかねない厳しい状況だ」と理解を求めた。

 抜本的な値上げは震災の被害や原発停止を背景に経営状況が悪化した13年9月以来約9年ぶり。

 1800億円の赤字予想

 東北電力が29日発表した2023年3月期の連結業績予想は、純損失が1800億円(前期は純損失1083億円)で、東日本大震災の被害を受けた12年3月期に次ぎ連結決算の公表開始以降では過去2番目の規模の赤字を見込んでいる。

 経常損失は2000億円(前期は経常損失492億円)で過去最大の予想。売上高は燃料費の上昇分を電気料金に上乗せするため、2兆7400億円(前期比30.2%増)としている。

 1株当たりの配当は前期が中間20円、期末15円だったが、23年3月期はいずれも無配の見通し。業績悪化に伴い8月から来年3月までの間、役員36人が月額報酬を最大10%自主返納する。

 22年4~6月期連結決算は、売上高が5582億円(前期比39.4%増)、経常損失が286億円(前期は経常利益185億円)、純損益が312億円の赤字(前期は98億円の黒字)だった。