交流に差も...東京五輪から1年、ホストタウン「レガシー」模索

 

 東京五輪・パラリンピック開催に際し、全国の市区町村と参加国・地域の選手や住民がスポーツにとどまらず、文化や経済などさまざまな分野で交流する「ホストタウン構想」が注目された。県内でも多彩な交流が企画されたが、新型コロナウイルス感染拡大で活動が頓挫する自治体も出ており、五輪から1年が経過する中、県内市町村はホストタウンの今後の在り方を模索している。(取材班)

 出前講座も開催

 「交流を次世代に継承したい」。オランダ、ハンガリーのホストタウンとして登録された郡山市。担当者は活動の継続に意欲を見せる。5日に開かれる郡山うねめまつりの「うねめ踊り流し」で、職員がオランダの民族衣装を着て、同国の伝統文化をPRする。ハンガリーとの交流も計画しており、同国出身の大学院生が小学生向けの出前講座で生活や文化を発信する。

 ガーナのホストタウンとなった猪苗代町は、6日にガーナ人を招いたサッカー教室や音楽発表など、同国の文化を盛り込んだイベントを開催する。ガーナは同町出身の細菌学者野口英世が最期を迎えた地だ。町の担当者は「英世の古里として今後もガーナとの交流関係を深め続けたい」と見据える。郡山市、猪苗代町とも相手国と以前からつながりがあり、五輪をきっかけに関係が強まったようだ。

 イベント開けず

 県内のホストタウン登録状況は【表】の通り。登録19市町村のうち、全ての市町村の交流が順調なわけではない。タイのホストタウンとなった会津若松市。ボクシング代表候補の合宿を受け入れるなどして交流を図ったが、新型コロナ感染拡大で直前合宿は中止となった。担当者が「(開幕直前に選手らが)市を訪れて市民と触れ合っていれば、その後の交流事業もスムーズに進んだと思う」とこぼすように、五輪後にタイの文化を紹介するイベントの開催を目指したが、実現には至らなかった。本年度も開催の予定はないという。

 ギリシャの「復興ありがとうホストタウン」となった楢葉町も状況は同じだが、将来を見据えた交流やレガシー(遺産)継承の在り方を探っている。町はギリシャから譲り受けたオリーブの種を宇宙に打ち上げ、その種を育てる活動を進めており、育てた苗を町内に植樹するなど、五輪との関わりを後生に残す計画を思い描いている。

 県補助申請鈍く

 県は本年度、ホストタウンに登録された市町村が交流事業などを実施する際の費用について、2分の1の補助率で100万円を上限に支援する補助メニューを創設した。ホストタウンが市町村単位で相手国・地域を持つ仕組み上、県の関わりが薄いことから、予算面で相手国・地域との交流継続を後押しするためだ。

 ただ、7月29日現在の申請件数は数件にとどまり、市町村の動きは鈍い。担当する県スポーツ課は、新型コロナの影響や市町村の職員不足が背景にあるとみるものの、温度差が出ている現況に焦りを募らせる。

 市町村ごとに事情が異なる中、交流の継続を希望する自治体は何を求めているのか。「(単年度ではなく)継続的な財政支援のほか、相手国・地域との絆やつながりを持ったり、深めたりする機会を国や県に提供してもらえれば」。二本松市の担当者は期待を込めた。

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 ホストタウン 東京五輪・パラリンピック開催に伴う経済効果や国際交流を全国に波及させることを目的に、政府が地方自治体の取り組みを支援した構想。通常のホストタウンに加え「復興ありがとうホストタウン」「共生社会ホストタウン」「先導的共生社会ホストタウン」が導入された。