脱炭素の専門人材育成 東洋システムと福島高専が共同講座

 

 東洋システム(いわき市)と福島高専は、温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)についての専門的な知識を有する人材を育成するため講座を開設する。脱炭素の取り組みの重要性が増す中、先導する人材を輩出することで地元企業の競争力を高め、エネルギーや蓄電池などの関連産業の集積に結び付けるのが狙い。企業と高等教育機関が連携した脱炭素の取り組みの先進事例として注目される。

 国や県は2050年度までの温室効果ガス排出量実質ゼロを掲げている。ただ、実現に向けては技術革新のほか、企業の再生可能エネルギー導入や電気自動車(EV)への転換などが課題となっている。同社によると、各企業とも「脱炭素経営」は手探りの状態で、専門知識を持つ人材を必要としており、講座が人材育成の場として軌道に乗れば、企業立地につながる可能性がある。

 同社は脱炭素社会を見据え、これまでも東京都や名古屋市、京都市などで若手社会人がリチウムイオン二次電池などの知識を学ぶ講座を開いてきた。次世代エネルギー産業に関わる人材の育成を進めたい福島高専と考えが一致、ノウハウを生かした同社出資による寄付講座の開設が決まった。カーボンニュートラルへの貢献が認められるとして、経済産業省の委託を受けた社会実装推進センターの補助金交付も決まった。

 講座は来年2月ごろまでにかけて高専で開講する予定。国や先進企業の担当者が講師を務め、現状や政策、企業の取り組みについて講義するほか、バッテリーや水素関連の実験を行う。受講生として高専の学生のほか、地元企業の社員を募る。公開講座やシンポジウムで一般市民にも学びの場を提供する。高専の教授らを交え、地域の脱炭素社会実現に向けた研究も進める。

 来年度以降は協力企業を募り、講座を拡大させたい考えだ。人材育成による雇用創出や専門的な学習機会の提供は、いわき市の課題となっている若年層の市外への流出を抑えることも期待され、東洋システムの庄司秀樹社長は「脱炭素社会を迎える中で、ほかの地域に負けない競争力や地域の課題解決につなげたい」と意欲を見せた。