原発処理水放出設備4日着工 東京電力、来春完成予定に遅れも

 

 東京電力は3日、福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、早ければ4日にも放出設備の工事に着手すると発表した。当初、来春ごろとしていた放出設備の完成時期について、気象や海の条件次第で来夏ごろにずれ込む可能性があるとした。放出開始時期も遅れる可能性が出てきた。

 東電はこれまで準備作業として、放出前の処理水を一時的にためる立て坑の整備や、沖合約1キロに設ける放出口の海底掘削、地盤調査などを進めてきた。県と第1原発が立地する大熊、双葉両町が2日に東電の設備設置計画を了承したことを踏まえ、海底トンネルなど放出設備の本格的な工事に移行する。

 放出設備は▽測定・確認用▽移送▽希釈▽放水―の四つに分かれる。東電によると、4日は処理水が放出基準を満たしているかどうかを確認する「測定・確認用タンク」と立て坑とをつなぐ移送用配管やケーブル敷設の工事を予定。海底トンネルを掘り進める作業も始める見込みだ。東電は放出設備設置の費用を約350億円と試算している。

 第1原発には約130万トンの処理水が保管されている。タンクの容量は約137万トンで、東電は来秋ごろにタンクが満杯になると見込んでいることから、設備の完成が来夏にずれ込んでも「(保管上の)問題はないと考えている」とした。

 処理水の海洋放出を巡り東電と政府は、関係者の理解なしに処分は行わないとする約束を漁業関係者との間で交わしている。3日に記者会見した小野明福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は「(県と大熊、双葉両町の了承を受け)工事は実施するが、(関係者の)意見を伺いながら説明を尽くしていくことが大事だと思っている」と述べ、理解醸成に取り組む姿勢を改めて強調した。

 海洋放出に向けた東電の計画では、処理水に含まれる放射性物質トリチウムを1リットル当たり1500ベクレル未満になるよう海水で薄めて基準値を下回ったことを確認した上で、海底トンネルを通して沖合1キロ地点から放出する。