「脱炭素講座」10月開始 東洋システムと福島高専

 
共同講座の開設を発表する庄司社長(右)と山下校長

 東洋システム(いわき市)と福島高専は5日、共同で開設する温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の専門的な人材育成に向けた講座を、10月に始めると発表した。同社の庄司秀樹社長と福島高専の山下治校長がいわき市で記者会見し、地元への関連産業集積や政府が浜通りに整備する国際研究教育機構との連携強化につなげる考えを示した。

 講座は来年2月まで10回程度開催し、高専生や地元企業の従業員ら40人程度が無料で受講する予定。同社の出資のほか、経済産業省の補助を受けて開設する。行政や先進企業に所属する脱炭素の政策やビジネス、水素、蓄電池の専門家が講師を務める。期間中は一般向けの公開講座やシンポジウムも開き、脱炭素社会について広く発信する考え。

 山下校長は講座をきっかけに、国際研究教育機構との連携が深まるとの見方を示した。学内に機構との連携に向けた組織をつくる考えだが、脱炭素分野のノウハウが不足していたといい、「講座を機に知見を積み重ね、機構が掲げる研究の全分野に人材を送り出せるようにしたい」と述べた。

 講座は脱炭素の取り組みの重要性が増す中で、先導する人材を輩出することで地元企業の競争力を高め、エネルギーや蓄電池などの関連産業の集積に結び付けるのが狙い。企業と高等教育機関が脱炭素に向け連携する取り組みの先進事例として注目されている。

 庄司社長「若者が地元残る機会に」

 東洋システムの庄司社長に、共同講座設立の狙いや取り組み内容を聞いた。

 ―講座設立の目的は。
 「カーボンニュートラルには世界的な取り組みが求められている。脱炭素社会以降に向け経済的な影響など問題が起きないようカバーできる人材が必要だ。特に浜通りは原発事故後の若者の県外流出が非常に多い。脱炭素社会に対応できる人材を育て、地元で働ける仕組みをつくりたい」

 ―講座の内容は。
 「高専生や地域の企業従業員向けの講義のほか、地域住民向けの公開講座でカーボンニュートラルの機運を高めたい。そのために各分野の知見がある講師を招く。多くの人が理解できる内容でスタートするが、レベルの高まりに合わせ高度な内容にしていきたい」

 ―今後の展開について。
 「地域のほかの企業と連携して来年度以降も講座を発展させていきたい。技術転換、技術革新を進めていくためにも各企業の協力が必要だ。技術や人材が集積すれば、企業誘致など若者が地元に残る機会も増える。10年、20年先の復興の一助になればと思っている」