福島県、住宅浸水145棟 記録的大雨、喜多方塩川は被害把握進まず

 
復旧作業が進み片側交互通行で通行止めが解除された土砂崩れ現場=5日午後1時25分、喜多方市山都町

 前線の影響で列島は5日も北陸や西日本を中心に激しい雨となった。滋賀県で高時川が氾濫、福井県では北陸道で土砂崩れが起きた。県内では会津を中心とした被災地の状況が次第に明らかとなり、県の5日午後5時時点のまとめでは、住宅の床上浸水が喜多方市や西会津町などの26棟、床下浸水が119棟の計145棟に上った。被害の大きい喜多方市塩川町では把握が進んでおらず、件数はさらに増える見通し。水田や畑地も水に漬かり、農作物への影響が懸念される。

 西会津町では道路の陥没により奥川地区の二つの集落が孤立状態となった。町の要請を受けた県が消防防災ヘリを飛ばし、町が用意した食料を届けた。

 避難指示は5日午前に県内全域で解除されたが、喜多方市は熱塩加納町に自主避難所を設け、住民を受け入れている。大玉村の一部地域の断水は復旧した。

 土砂崩れや斜面崩落など道路の被害は県管理道路27件、市町村道29件で、一部で規制が続く。喜多方市と山形県米沢市をつなぐ国道121号は、米沢市の八谷トンネル付近で道路が流失したため全面通行止め。復旧に時間がかかる見通し。

 鉄道は復旧が進み、山形新幹線の福島―新庄間、奥羽線の庭坂―米沢間で運転を再開した。橋梁(きょうりょう)が崩落した磐越西線は会津若松―喜多方間で始発から運行したが、喜多方―馬下間で終日運転を見合わせた。野沢―馬下間の上下線は6日の始発から再開する。

 観光地喜多方、募る不安

 大雨で新潟県につながる鉄道と、山形県とを結ぶ国道が寸断された。喜多方市は観光シーズンを迎え、これからが書き入れ時。県外からの客足を期待していただけに地元関係者は危機感を募らす。

 「ここまでひどいとは」。JR喜多方駅から北へ30メートル離れた場所にある甲斐商店。社長の甲斐修一さん(67)は被害の大きさに驚きを隠さない。徐々に明らかになる大雨の爪痕。濁川橋梁(きょうりょう)の崩落を聞いた時はあぜんとしたという。

 磐越西線は通学・通勤で利用されるが、週末になると蒸気機関車が走り鉄道ファンが訪れるなど観光活性化の側面も担う。「只見線は全線で再開するが、こちら(磐越西線)が取り残されてしまわないか心配だ」と不安を口にする。

 JR東日本が7月下旬に公表した地方路線の区間別収支によると、被災した区間は利用者が少なく採算のとれない、いわゆる「赤字路線」。復旧の厳しさが既に地元から聞こえる。喜多方観光物産協会長を約8年務めた若木商店の冠木紳一郎さん(67)は東日本大震災時、本県に燃料を運ぶための緊急輸送路線として磐越西線が活用されたことを挙げ、「行政や市民を挙げてバックアップしないと鉄道が続かないのではないか」と指摘した。

 三ノ倉高原のヒマワリ畑など喜多方市はお盆にかけて観光客でにぎわう。会津喜多方商工会議所の佐藤富次郎会頭(67)は「影響は甚大」と指摘する。喜多方市と山形県とをつなぐ国道121号は6月の大雨で斜面が崩落し、片側交互通行で復旧したばかり。「こんなに頻繁にインフラが寸断しては困る。コロナ禍からの本格的な経済再生と観光振興を期待していただけに経済への影響は計り知れない」と厳しい表情を浮かべた。