ウクライナ人博士を受け入れ 福島大環境放射能研究所

 
「福島大は設備が整い、レベルの高い研究者がいて楽しみ」と話すブルドー博士

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、福島大環境放射能研究所(IER)はウクライナ国立科学アカデミー原子力研究所のオレナ・ブルドー博士(39)を受け入れた。期間は12月中旬までで、最新技術の習得研修を行うほか、東京電力福島第1原発や浜通りを視察し、復興や除染の取り組みなどを学ぶ。19日に福島大で開かれた記者会見に出席したブルドーさんは「戦争で生活が一変したが、日本で研究を継続し、母国で活用したい」と抱負を語った。

 IERは福島医大や筑波大、ウクライナの政府機関や研究機関と共同で、同国の放射能汚染地域の有効活用の研究を進めている。ロシアの侵攻でウクライナでの研究が中断、チェルノブイリ原発近くにある共同研究機関が甚大な被害を受けたため、IERが人材育成としてブルドーさんを受け入れた。

 ブルドーさんの専門分野は放射線生物学で、共同研究の一員としてチェルノブイリ原発事故被災地に生息する野生ネズミの骨髄細胞への放射線影響を調査してきた。IERでの研修では、異常な染色体を識別する解析技術を習得する。帰国後は習得した最新技術を放射線影響研究に生かす。

 IERの難波謙二所長は「福島はウクライナの知見に助けられてきた。支援は恩返し。一日も早く平和な環境で研究が継続されることを願う」とした。

 ウクライナの機関に研究用機材を贈呈へ

 福島大環境放射能研究所は、ロシアの侵攻の被害を受けたウクライナの研究機関に研究用機材(約2千万円相当)を贈る。19日に現地とオンラインで結んだ引き渡し式を行い、難波謙二所長が「今後も支援を継続する」と語った。機材は年末までに順次、引き渡す。

 国際協力機構(JICA)などの支援を受ける共同研究の資金を活用し、空間・個人線量計など約20種100台を贈る。オンラインで参加した松田邦紀駐ウクライナ大使やJICAの岩崎英二地球環境部長らがあいさつし、ウクライナへの支援の意義について語った。

 ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使は、ロシア軍によってチェルノブイリ研究拠点から機材が略奪、破壊されているとし「機材が納入されることで体制が復旧する」と感謝を述べた。