大雨土砂、水路ふさぐ 喜多方の農家、収穫前...水入らず危機感

 
大雨の影響で土砂が入り込んだ喜多方市山都町の大林堰水利組合の水路。佐藤組合長は「今は、収穫前に水が欲しい時期。時間がたつにつれ不安は増していく」と語る

 会津北部などで大きな被害が発生した今月上旬の記録的な大雨で、収穫を控えた農家が大きな打撃を受けている。喜多方市山都町の水稲農家らでつくる大林堰水利組合では、水路が土砂でふさがれ、田畑に水が一滴も入らない状態だ。佐藤善太郎組合長(70)は「収穫前の田んぼは水が必要な時期。いつまでこの状況が続くのか」と頭を抱える。

 同組合は洲谷、川隈、下川角、下村の各行政区の農家約30戸でつくり、約25ヘクタールに水稲を中心にアスパラガス、キュウリなどの作物を栽培している。水源は同市山都町の早稲谷川。山林の中を通る水路は全長約15キロで簡易的な造りの場所が多く、小型のトンネル「隧道(ずいどう)」もある。佐藤さんによると、水路は約20カ所で崩壊や土砂の流入が発生した。

 田んぼには収穫前の今月下旬から9月上旬まで水がないと、実の成長に影響を及ぼす可能性があるといい、佐藤さんは「十分育たなければ出荷はできない。今は雨が唯一の水源。日照りが続いたら田んぼが割れてしまう」と危機感を募らせる。

 水路では流木や土砂が積み重なったり、隧道に大量の土砂が流れ込んだりしている。周囲の林道も道幅が狭く、崩落などが発生し、危険な状況だ。隧道の中に入ることもできず、詳しい被害状況は確認できていない。

 佐藤さんは復旧が見通せない現状に「雪解けで土砂が入った時は春に組合員で撤去するが、今回は人力でできる規模ではない。高齢化が進む中、手に負えない」と表情を曇らせる。

 新型コロナウイルスによる外食需要の低下などで米価が上がらないことに加え、資材の高騰もあって、農家の台所事情は厳しい。「来年の作付けはできるのか。コメが作れなければ生活できない」。先の見えない状況に組合員からは不安の声が上がっている。今回の大雨被害は早期復旧を後押しするため激甚災害に指定される見通しだ。佐藤さんは「市や県は早急に復旧を進めてもらいたい」と強く訴える。

 市によると、大雨で被災した農業用水路は市内全域で166カ所で、被害額は約3億9500万円(19日現在)。市は「これから被害が分かる所もあるかもしれない。早急に状況を把握し、県や国と連携して復旧を目指す」としている。同組合については引き続き被災現場の確認を続け、復旧の手段を検討するという。