風評対策有識者会議、9月発足 処理水放出、情報発信へ具体案

 
「将来的に帰還困難区域全ての避難指示を解除する」と語る秋葉氏

 秋葉賢也復興相は26日、来春に予定される東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出を巡り、風評被害対策を検討する有識者会議について、9月にも設立する考えを示した。交流サイト(SNS)などに精通した専門家らで構成し、来年1月をめどに海洋放出に関する効果的な情報発信手法を軸とした具体策をまとめる方針。

 福島民友新聞社など報道各社の合同取材に明らかにした。秋葉氏は有識者会議について「SNSの専門家に知恵を出してもらい(海洋放出の安全性などについて)より効果的に伝わるための手法を検討する。特に若い人に関心を持ってもらいたい」と述べた。放出開始に向け「来春までに(国民の理解醸成が)間に合うよう、1月に具体策をまとめて実践していく」と強調した。

 復興庁が4月に公表した海洋放出方針に関する認識調査では、国内回答者の約6割が方針そのものを認知していないとの結果となった。秋葉氏は、復興庁などのこれまでの風評払拭に向けた情報発信の在り方について「ホームページなどでの型通りの発信で終わっている」と指摘、広報の効果を検証する考えも示した。海外での理解醸成に向けては「経済産業省や環境省を含め海外への情報発信が非常に弱かった。(本県を含め日本産食品の)輸入を規制している国や地域に足を運び、風評の払拭に努めたい」と述べた。

 有識者会議では、風評被害対策のほか、東日本大震災の風化を防ぐための取り組みについても検討するとしている。

 秋葉賢也復興相に聞く 避難解除、決意揺るがない

 秋葉賢也復興相は26日の報道各社による合同取材に対し、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域の再生や、福島国際研究教育機構の設立に向けて決意を語った。

 ―帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域から外れた地域の再生をどう進めるのか。
 「将来的に帰還困難区域全ての避難指示を解除するという決意に揺るぎはない。まずは2020年代に希望する住民が帰還できるよう意向確認にできるだけ早く取り組む。(帰還の意向がない住民の)家屋や土地の扱いについて地元と丁寧に協議を重ね、少しでも前進できるよう検討する」

 ―東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出方針に関する風評対策にどう取り組むのか。
 「交流サイト(SNS)の専門家らで構成する有識者会議を来月にも設立する。有識者のノウハウやアイデアを踏まえ、効果的に(処理水の安全性などを)伝える手法を検討する。東日本大震災への関心も薄れている。有識者会議では教訓を風化させることなく、次の世代に伝えるための方法も考えたい」

 ―福島国際研究教育機構を設立する意義は。
 「福島の復興と再生の切り札にとどまらず、日本の経済発展の原動力にしたい。研究開発と産業化、人材育成、司令塔の機能をしっかりと発揮できるような組織にしなければならない。9月に立地場所を決定するが、設立の効果が(原発事故で避難指示が出るなどした)12市町村全体に波及するよう取り組む」

 ―被災地の営農再開にどう取り組むのか。
 「特に大熊、双葉両町はこれからが正念場だ。早期の営農再開に向け、農地の保全と管理、水稲や野菜の試験栽培などに関する手厚い支援を継続する。外部からの参入促進を含め、農業の担い手の確保と育成にも取り組む。中間貯蔵施設の受け入れという苦渋の決断に見合った支援を行うべきだと考えている」

 ―震災で親を亡くした遺児、孤児をどう支援していくのか。
 「被災地(宮城県)選出の議員としても震災遺児、孤児への支援の継続は重要な課題だ。孤児は宮城、岩手、福島の被災3県で約250人いる。進学や就職先が希望通りにかなったのかどうかを含め、各市町村の協力を得て面談調査を行いたい」