【只見線再開通】会津川口駅/災害乗り越えハナモモ美しく歓迎

 
ハナモモなどを育てる菅家さん。「会津川口駅からきれいな風景を眺めてもらいたい」と話す

 只見川と野尻川の合流付近に位置するJR只見線の会津川口駅。只見川を挟んでホームから望む対岸には地元・金山町の住民が手入れするハナモモの木が植えられている。2011年に甚大な被害をもたらした新潟・福島豪雨を乗り越え成長したハナモモは、春になるとピンクの花をつけ、見る人の心を和ませている。

 町民有志でつくる「愛される川口をつくる会」は「JR只見線会津川口駅を日本一美しい駅にしよう」をキャッチフレーズに、豪雨災害前年の10年から3年をかけて、ハナモモやイロハモミジの苗木計350本を植えた。会長の菅家徳夫さん(74)は「10年もすれば花も木も育って景色も良くなるのではないか。災害に見舞われたが、3年は継続したいとの思いでみんなでやってきた」と当時を振り返る。

 専門家の話を聞き、ハナモモの名所を訪ねたりと研究を重ねた。今では県内外から多くの"撮り鉄"たちが訪れる只見線の有数の撮影スポットとなった。

 町は高齢化率が約60%と県内で最も高く、集落の活力低下や人口減少による産業の衰退などが喫緊の課題となっている。植樹が始まる前、川沿いには耕作放棄地が広がっていた。「クルミの木があって、クマがやってきたこともあった」。只見線の乗客に美しい風景を眺めてもらいたいと、仲間と一緒に整備した。県内有数の豪雪地帯でもあることから、花木に雪害があることもしばしば。菅家さんは家の畑で種から苗木を育て、補植もしている。

 つくる会の会員は約30人だが、実際に活動しているのは十数人。新型コロナウイルス禍に加え、高齢化で作業ができなくなっているのが現状。それでも「地権者に協力していただいた以上、そこを維持管理していく」と草刈りや刈り込みなどを継続していく考えだ。

 これまでは只見線を利用する観光客をもてなすために花木の育成に励んできたが、「今度は乗客として新潟方面へ足を延ばそうかな」と菅家さん。只見線の全線再開通を記念に旅行を計画し、車窓からの絶景を満喫したい、と笑顔を見せた。

 11年前の新潟・福島豪雨で被災したJR只見線が10月1日に全線で運転を再開するまで1カ月余りとなった。不通区間の会津川口―只見駅間で列車の試運転が行われるなど再開通に向けた準備が進む。駅や沿線に活気を呼び込もうと、それぞれの立場で活動してきた住民の思いに迫った。

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 JR只見線 会津若松市の会津若松駅から新潟県魚沼市の小出駅を結ぶ全長135.2キロの鉄道。新潟・福島豪雨により会津川口―只見間の27.6キロが不通となった。36駅あり、会津川口―只見間にあるのは本名、会津越川、会津横田、会津大塩、会津塩沢、会津蒲生の各駅。車窓から望む只見川や雄大な山々などの絶景が魅力の一つで、鉄道ファンらの人気を集めている。