【只見線再開通】会津川口駅/不通11年...誘客へ独自の魅力発掘

 
前金山町長の長谷川さん。「何か魅力的なものがなければ観光路線としては誘客できない」と話す

 前金山町長 長谷川盛雄さん

 2011年7月の新潟・福島豪雨で被災し、不通となっているJR只見線会津川口―只見間の復旧工事は18年6月に始まった。豪雨から再開通まで約11年。会津川口駅近くに住む前金山町長の長谷川盛雄さん(76)は「町も町民も只見線について改めて考える機会になった。この期間は無駄ではなかったと思う」と話す。

 再開通したとき、利用者をどのように増やしていくのかという問題は常にあった。「町長という職務は営業だと思っている。町をどうやって知ってもらうか、ということを念頭に置いて対応してきた」。町議3期、町議会議長などを経て14年から町長を1期4年務めた。沿線の奥会津では人口減少と高齢化が進み、地元住民による利用が急増することは考えにくい。「観光面でいかに人を呼び込むかが鍵を握る」と、鉄道復旧に向けた活動はもちろん、町の知名度アップへ沼沢湖のヒメマスや特産の炭酸水、温泉など町独自の魅力発信に努めた。

 またJRと自治体の連携により廃線の危機を脱して人気路線となったJR五能線(青森、秋田県)を視察し、沿線地域の取り組みを学んだ。駅があるそれぞれの地域で魅力をさらに掘り下げる必要性を実感した。「それがなければ観光路線としては誘客できないだろう」。それも希少なものでないと駄目だと気付いた。

 只見線のバス代行区間となっている沿線地域の魅力を発信しようと、18年3月に県立テクノアカデミー会津の学生が駅ごとに散策を楽しめる手書きのマップを作り、グルメや温泉、絶景スポットなどを取り上げた。長谷川さんは「学生が作ったものに改良を重ね、パネルでも作って駅舎に展示してはどうか」と提言する。

 全線再開を記念して10月に会津若松―只見間で鉄道開業当時の客車をイメージしたレトロな車両の「只見線満喫号」が運行される。運行は1日1往復の7日間のみ。それでも、「たくさんの人が来てくれるはず。その時の印象が大事になる」と強調し、民間と行政など地域一体で受け入れ態勢の準備を進めるよう促す。

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 会津川口駅 只見川の川岸にあり、その日の気候によって川霧に包まれ、幻想的な景色となる。みどりの窓口はないが、出札窓口を設置。町観光情報センターや駅発着のレンタサイクルがある。川口高や天然炭酸温泉せせらぎ荘、昭和村方面への最寄り駅となる。