廃炉の将来像「共有」 原発立地町初、大熊で国際フォーラム

 
廃炉国際フォーラムのパネル討論で関係省庁や東電の関係者と意見を交わす高校生ら=大熊町

 国内外の原子力の専門家を交え、県民が東京電力福島第1原発の廃炉の在り方について考える「第6回福島第1廃炉国際フォーラム」は28日、大熊町で始まった。初日は高校生や一般参加者が廃炉に携わる関係機関とのパネル討論などを通し、廃炉や処理水を巡る疑問について意見を交わした。第1原発立地町での開催は初めて。29日まで。

 高校生らと関係機関討論

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が廃炉の現状や将来について、県民に理解してもらうことを目的に2016(平成28)年から開催。今回は事前開催された意見交換に参加した高校生や一般、関係者ら計約200人が参加した。

 NDFの山名元(はじむ)理事長は「廃炉の問題は社会との信頼の上にこそ成り立つ。進展や安全性に対する地元の理解と、廃炉が目指す将来の姿を地元と共有していくことが、復興活動で必須の要件」などとあいさつした。

 最終日はいわき市のアリオスで放射性廃棄物などの分析をテーマに開催。東電の担当者や海外の専門家が意見交換する。

 処理水 誤情報「権威者が否定を」

 廃炉国際フォーラム初日のパネル討論では、処理水の海洋放出方針を巡り、参加者が議論した。NDFの山名元理事長は風評の抑制に向け、誤った情報に対し政府を中心に権威のある有識者が問題点を的確に指摘できる環境を整えるべきだとの見解を示した。

 高校生や一般参加者から風評の抑制策や誤った報道への対応について質問が相次いだ。山名氏は「正確な情報を伝え続け、情報量を増やすことが重要だ」とした上で「日本は非科学的なうわさがあったときに、明確に『違う』と言う権威者が少ない。政府を中心に、権威者がしっかりと否定できるタイミングを増やすことが大事だ」と提起した。

 参加者から情報発信の考え方を問われたのに対し、片岡宏一郎経済産業省福島復興推進グループ長が「心配、関心に応じてPRしていかなければならない。風評は消費者にも影響する。それらの広報を積極的に強化していきたい」と語った。

 東電の小野明福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は「これまでの情報の出し方が分かりにくく、伝わっていなかったことは大きな反省点だ。相手が何を心配しているのか、何に関心があるのかを聞き、分かりやすい言葉で返すことが大事だ」と述べた。

 放射性物質トリチウムを含む処理水を巡って、東電は海水で基準値を下回るまで希釈した後に海に流す計画だが、高校生から「薄めて流すのであればトリチウムの総量は一緒ではないか」との質問が出た。原子力規制庁の担当者は「トリチウムには半減期あり、時間をかけた分、放射性物質が少なくなる」などと答えた。

 廃炉工程「柔軟な見直し重要」 東電

 パネル討論では、参加者が福島第1原発の廃炉の進め方についても東電やNDFに疑問を投げかけた。東電の小野明福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は30~40年かかるとされる廃炉工程について「40年先に完了することを担保しながら、柔軟に見直すことが重要だ」と強調した。

 大熊町の女性は廃炉工程に関し「『何年まで』ではなく、安全を優先して進めることが大事ではないか」と懸念を示した。小野氏は2号機の溶融核燃料(デブリ)取り出しを延期したことに触れ「不安を持った形で進めるのは良くない」と語り、約40年の全体計画を保ちつつ、工程の変更も必要だとの認識を示した。

 一般来場者の男性は、廃炉に伴う放射性廃棄物の最終処分場所が決まっていないと指摘した。NDFの山名元理事長は「廃炉の本質的な問題で、世界共通だ。世界中が未知を模索している。第1原発でどのようなもの(廃棄物)がどのくらい出るかを知らないといけない」と答え、まずは廃炉で出る廃棄物の性質や状態の把握に注力するとした。