【復興拠点解除・双葉】節目だけど通過点 最後発、双葉らしく

 
復興拠点の避難指示解除に「節目ではあるが、30日は一つの通過点」と話す吉田さん

 GS運営「伊達屋」社長 吉田知成さん 46歳

 双葉町の国道6号沿いにあるガソリンスタンド「双葉6号SS」は、町内や周辺で行われている作業現場に燃料を供給している。運営会社「伊達屋」社長の吉田知成(46)は、2017(平成29)年6月の営業再開から、双葉の復興の歩みを最前線で見続けてきた。「30日は節目とはなるが、一つの通過点と考えた方が良いと思う」と、JR双葉駅前を中心とした特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除を冷静に受け止める。

 二地域居住多く

 伊達屋は「町の燃料屋」として、双葉町民に親しまれてきた。東京電力福島第1原発事故後の業務は復興現場への配達が主だが、家庭用のプロパンガスも手がける。復興拠点の避難指示解除に向けた議論が本格化した今年の大型連休明けからは、避難先の町民から「双葉でガスを使いたい場合にはどうすればいいか」との問い合わせが出てきた。7月以降、さらにその件数は増えてきているという。

 吉田は、問い合わせに必ず「完全に生活をこちらに移すのですか」と聞く。プロパンガスを設置すると、使用しても、しなくても基本料金が発生する。「例えば年に1、2回しか使わないのに基本料金をいただくのは、お客さんに申し訳ないんで」と理由を明かす。吉田の質問に、完全に生活を移すと答えたのは数件。避難先を本拠に、墓参りなどで訪れた時にだけ自宅を使いたいという「二地域居住」を考えている住民が大半だった。

 二番煎じにせず

 避難指示解除で拠点内に住むことはできるようになるが、さまざまなインフラはまだ整備の途上となっている。「うちが営業再開したころに、浪江町の避難指示が解除された。おおよそ5年で今の浪江がある。双葉も同じように時間がかかるだろう。すぐには大きく変わらないのでは」とみる。ただ、吉田は双葉郡内でも最後発となる帰還の開始が、利点となる可能性も口にする。

 「他の自治体も住民が戻れる環境づくりを試行錯誤したと思う。その成功した事例や反省点などを踏まえながら、二番煎じではなく双葉のオリジナリティーを加えていけば、魅力があるまちになるのではないか」。その上で「難しいとは思うが、住民が生活する中でインフラができていくのではなくて、最低限のインフラを整えてから来てくださいという方が帰ってきやすいと思う」と、解除後のまちづくりに期待する。

 吉田の目はさらに先を見据えている。「次は当然、拠点外の地域をどうするかということになるよね。私は完全除染するべきだと考えている。そこまでやらないと、避難指示解除とは言えないのでは。ここは白黒付けないと」。一つの課題を乗り越えると、また次の課題。まちづくりは続く。(文中敬称略)