浪江に国際研究機構、県が政府に提案へ JR駅西側、利便性重視

 
国際研究機構の候補地となっている浪江町・JR浪江駅周辺(ドローン撮影)

 政府が浜通りに整備する福島国際研究教育機構について、県が浪江町のJR浪江駅西側を立地候補地として政府に提案する方針を固めたことが分かった。県は、9市町が提案した計15カ所の候補地について現地調査と聞き取りを重ねており、駅周辺に立地する利便性の高さや近隣市町村との交通の便の良さ、機構で行う研究分野での連携などの視点を踏まえて判断したとみられる。

 県は30日に開く新生ふくしま復興推進本部会議を経て、同日中に政府に伝えるもよう。政府は県の意見を尊重し、9月に立地場所を正式に決定する。

 政府は機構の敷地面積を東京ドーム約2個分に当たる10ヘクタール程度と想定。〈1〉ロボット〈2〉農林水産業〈3〉エネルギー(カーボンニュートラル)〈4〉放射線科学・創薬医療〈5〉原子力災害に関するデータや知見の集積・発信―の5分野を中心に研究を進めるとしている。

 浪江町は、再開発を進める駅周辺にまとまった用地を確保しており、研究者の生活環境や近隣市町村との往来などで条件が整っている。町内に福島水素エネルギー研究フィールドがあるほか、隣接する南相馬市には福島ロボットテストフィールドが立地し、一部施設が町内にあることなどから研究面での連携も期待される。

 このため浪江町に決まれば浜通り全体への効果の波及にもつながる。内堀雅雄知事は福島市で27日開かれた原子力災害からの福島復興再生協議会の後、機構の候補地選定について「立地自治体はもちろん重要だが、避難地域のそれぞれの自治体、浜通り全体、県全体に効果をどう展開させていくかが極めて大切だ」と言及。効果をより広く展開していく取り組みについて検討を続けていく方針だ。

 政府は来年度までに機構の施設基本計画をまとめ、完成した施設から順次運用を開始、2030年度までの全施設の完成を目指している。来年4月には仮事務所を設け、機構が整備されるまでの間、研究や施設整備の業務を進める。仮事務所について、県は浪江駅西側にある町有施設を候補地として提案する見込み。

 立地選定を巡っては、政府が原発事故で避難指示が出るなどした12市町村を対象とし、このうち田村、南相馬、川俣、広野、楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江の9市町が候補地として県に提案した。県は、円滑な施設整備や周辺環境などの観点から調査を進めてきた。