廃棄物分析「効率的な手法の開発が必要」 廃炉国際フォーラム

 
廃炉に向けた課題や展望についてパネル討論する専門家ら=いわき市

 東京電力福島第1原発の廃炉を考える「第6回福島第1廃炉国際フォーラム」は最終日の29日、いわき市で講演やパネル討論が行われた。第1原発で大量に発生する放射性廃棄物や溶融核燃料(デブリ)の取り出し開始を念頭に、国内外の専門家が「分析への取り組み」をテーマに議論した。

 講演では、金子修一原子力規制庁次長が第1原発の廃炉に向け、今後10年間で約30万立方メートルの放射性廃棄物が発生すると説明。桐島陽東北大多元物質科学研究所教授は廃棄物に含まれる核種の種類や量、分布状況を調べて適切な処理方法を選択することが、長期保存の安全を確保し、無駄なコストを発生させないためには重要だと指摘した。

 パネル討論では、国内外の有識者が廃炉に向けた課題や展望について意見を交わした。膨大な量の廃棄物の分析に向け、原子力研究機関で所長などを務めたフランスのセドリック・リヴェール氏は「より速く効率的な手法の開発が必要だ」と提起した。

 また海外の専門家からは、廃炉作業で得られた情報のデータベース化が不可欠との声が上がった。原子力や安全保障政策を専門とする米国のポール・ディックマン氏は「作業から何を学び、何が分かっていないのか、一般にも分かる形で情報化しなくてはならない」と述べた。

 規制庁や処理設備が立地する地元住民が意見交換することで、関係強化を図る重要性を指摘する声もあった。

 分析技術の開発や大学の参画に期待

 廃炉国際フォーラムでは国内の専門家や東京電力の担当者が講演した。原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)技術グループ廃棄物戦略チーム執行役員の加藤和之氏は、大量の廃棄物を効率的に分析する手法や、採取が困難な高線量の放射性廃棄物について分析の進め方を課題に挙げた。

 加藤氏は「各分析施設の機能や能力を考慮し、オールジャパンで進めることが必須だ」とし、目標時期を定めた技術開発や大学などの参画に期待感を示した。

 東電福島第1廃炉推進カンパニー廃炉技術担当の石川真澄氏は「研究や技術開発は日本原子力研究開発機構(JAEA)、施設運営などを目的とする分析は東電が行うなど、役割分担が必要だ」と述べ、原発構内で分析施設の整備や専門的な技術者の育成に取り組む考えを示した。

 廃炉の成否「分析が握る」

 主催したNDFの山名元(はじむ)理事長は「廃炉の成否を(放射性廃棄物の)分析が握っていることはあまり知られていない。海外の専門家や原子力規制庁を含め、関係者が分析の重要性を共有できたことは今後の作業進展へ重要になる」と総括した。

 第1原発で発生する処理水の海洋放出方針にも言及し「住民の不安や懸念と、廃炉を進める人間の感覚にギャップが存在し、そこを埋めていくことが必要だ」とし、フォーラムのような対話の機会を増やすべきだと強調した。

 廃炉国際フォーラムには2日間で11カ国から延べ550人(初日209人、2日目341人)が参加。このうち、223人が県民だった。来年の開催地として双葉町といわき市の2会場を予定しており、NDFが日程などを検討している。