福島県、JR浪江駅西側提案 政府へ国際研究教育機構の候補地

 

 県は30日、政府が浜通りに整備する福島国際研究教育機構の立地候補地として、JR浪江駅西側の浪江町川添地区を政府に提案した。機構の整備に先駆けて来年4月に設ける仮事務所には、町が駅西側に開所した複合施設「ふれあいセンターなみえ」を活用するよう提案した。政府は県の意見を尊重し、9月16日開催で調整している復興推進会議までに正式決定する方針。

 県庁で開いた新生ふくしま復興推進本部と福島イノベーション・コースト構想推進本部の合同会議で決めた。候補地の敷地面積は約10ヘクタールで、浪江駅から約500メートル、常磐道浪江インターチェンジから約4キロの場所にあり、国道6号とも近い。交通アクセスが良好で、通勤圏と想定される周辺地域を含め住宅や商業施設、病院など生活環境が整っている点を評価した。

 研究施設や企業、交流・教育施設なども周辺地域を含めて多く立地し、機構との連携により福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想のさらなる発展が見込まれる点や、今後復興が本格化する地域と近接し、広域的な復興まちづくりが期待される点も評価のポイントとなった。

 県は候補地選定に当たり庁内にプロジェクトチームを設置。9市町が提案した計15カ所の候補地について現地調査と聞き取りを重ね、円滑な施設整備と周辺環境、面積の計12項目で評価した。「十分適している」「適している」「一部適している」「要件を満たさない」の評価で、浪江町川添地区は「十分適している」が15カ所中最多の6項目、「適している」が6項目となり、総合で最も高かった。

 吉田栄光浪江町長は「浜通り全体の復興に向け、町としても速やかに事業に着手できるよう国、県、関係市町村と連携をさらに密にし、しっかり準備したい」とのコメントを出した。

 地域を超えた研究タウン

 福島国際研究教育機構の立地候補地を浪江町川添地区に決定したのに伴い、県は30日の合同会議で、機構の効果を浜通りや全県に波及させるための取り組み方針を示した。機構を核に立地地域を超えた「研究タウン」を構築し、数百人に及ぶ研究者らの生活圏を広域的に形成することで東京電力福島第1原発事故による避難指示が解除された地域の居住人口の回復につなげる。

 「復興まちづくり」「ネットワーク形成」の両面で広域連携を進める。住民と研究者、移住者らが共存し、まちづくりの将来像を実現できるよう多言語対応にも配慮した住まいや商業、教育、子育て、交通、医療などの生活環境を充実させる。
 機構は約50の研究グループに国内外から数百人が参加する構想で、家族や職員、関連企業の従業員を含めた居住が期待される。研究分野ごとの学会の開催などでより多くの研究者が訪れる環境をつくり、関係人口の拡大を図る。

 浜通りをはじめ、県全域にある既存の研究施設や企業、教育機関などとネットワークを結び、研究開発や産業振興、人材育成などで相乗効果を発揮できる仕組みをつくる。

 機構は〈1〉ロボット〈2〉農林水産業〈3〉エネルギー(カーボンニュートラル)〈4〉放射線科学・創薬医療〈5〉原子力災害に関するデータや知見の集積・発信―の5分野を軸に研究を進める構想で、各分野で連携の在り方を探っていく。

 内堀雅雄知事は会議で「機構が浜通りなどの研究機関や産業界、教育機関などと連携を深めることで福島イノベーション・コースト構想をさらに発展させ、自治体の枠を超えた人の流れの創出や広域的なまちづくりにより浜通り、県内全域へ効果を波及させていくことが極めて重要だ」と強調。その上で「機構の取り組みの効果が広範なエリアに還元されるよう機構、国、市町村、関係機関などとしっかりと連携してほしい」と各部局長に指示した。

 政府は来年度までに機構の施設基本計画をまとめ、完成した施設から順次、運用を始める。2030年度までの全施設の完成を目指す。来年4月には仮事務所を設け、機構が整備されるまでの間、研究や施設建設の業務を進める方針だ。