よみがえる陶芸家の遺作 喜多方、故一重孔希氏の未完に焼き入れ

 
本焼きした作品を手にする佐藤さん(左)と橋本さん

 喜多方市塩川町の陶芸家故一重(いちじゅう)孔希(こうき)氏の作品を管理する孔希会は、窯入れ直前だった未完成の作品を一重氏の工房に残るガス窯で本焼きした。8月31日、窯から取り出し、一重作品がよみがえった。

 一重氏は昨年3月、73歳で亡くなった。19歳で会津本郷町(当時)で白磁を制作していた陶芸家に弟子入りし、1973(昭和48)年には国画展で新人賞を受賞。75年に独立し同市塩川町の雄国山麓に工房を構え、日常で使われる作品作りを目指した。

 同会は一重氏の作品が誰の目にも留まることなく放置しておくことは避けたい、と本焼きを決めた。生前、一重氏と交流のあった会津美里町の薬剤師で陶芸家の橋本智史さん(40)、工房のガス窯を製造した滋賀県のメーカーから上島慶博さん(40)の協力を受けた。

 ガス窯は1・5立方メートルで、カップや器、皿、つぼなど数百点を並べた。本焼きは8月25日午前6時から始まり、ガスや空気の調整弁を小まめに開け閉めしてゆっくり温度を上げていった。途中、上薬の溶け具合を見ながら、想定温度の1250度に達した同午後9時、ガスを止めた。窯の温度が下がった31日に取り出した。

 焼き上がった作品を見た橋本さんは「青磁はしっかり色が出ている。一部の白磁は少し温度が低かったかもしれないが、一重さんがよくやったと言ってくれる出来栄えではないか」と話した。

 同会の佐藤弥右衛門代表は「いい出来。一重さんの作品に近づけたのではないか」と感慨深そうに語った。