建屋冠水の新工法検討 東京電力、第1原発3号機デブリ取り出し

 

 東京電力が福島第1原発の溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出すため、原子炉建屋全体を巨大な水槽のような構造物で囲い建屋ごと水没させる「冠水工法」を検討していることが1日分かった。水には放射線を遮る効果があるため被ばく低減など利点が多く「新たな発想による有望な候補だ」としている。ただし原子力分野での実績はなく、今後も技術的課題や費用などの検討を続ける。

 関係者は「止水などに高等技術が必要で、大工事になるだろう」と指摘。工事からデブリ取り出しまで長期事業となり、総額8兆円と見込まれる廃炉費用にも影響する可能性がある。

 第1原発の廃炉を支援する原子力損害賠償・廃炉等支援機構が近く策定する、2022年版「廃炉戦略プラン」に盛り込む方向で調整している。

 新工法は、船や飛行機の機体に使われ、圧力に強く、耐久性を保てる「船殻構造体」と呼ばれる構造物を使う。原子炉建屋の地下を含めた全体を囲って内部に水をため、デブリは原子炉の上部から取り出す。複数の工法から絞り込んだ結果としており、3号機での導入を想定している。

 第1原発では当初、建屋内の原子炉格納容器のみを冠水させてデブリを取り出す検討をしていたが、事故で損傷した容器の補修が難しく、作業員の被ばく量が増えるため見送った。

 最初に取り出しを始める2号機では、デブリを空気中で取り出す「気中工法」で準備が進んでいる。廃炉戦略プランでは3号機でこの工法も候補とし、建屋を冠水させる工法とともに検討する方針。

 デブリ取り出しは第1原発の廃炉の最難関。1~3号機のデブリは総量で約880トンに上るとの推計がある。東電と国は41~51年までにデブリを取り出し、廃炉を完了させる計画。