住宅全壊、思い出の家「壊すしか」 町道寸断、水も電気も未復旧

 
自宅周辺を見つめる小椋さん=西会津町奥川

 県のまとめによると、大雨による住宅の被害は喜多方市や西会津町など6市町村で169棟に上る。県内で唯一、住宅が全壊する被害を受けた西会津町の小椋千代子さん(62)は「道路が土砂や石でふさがれ、簡単に家まで行けない。水や電気も復旧していないので、土砂を片付けることも難しい」と途方に暮れる。

 小椋さんが住む同町奥川の弥生地区は、町役場から約20キロの場所にあり、3世帯5人が生活。冬は豪雪地帯で住めないため、住民は場所を移して暮らしている。小椋さんは集落を流れる川から約5メートルの距離にある家で1人で暮らしていた。

 大雨の当日。「川を大きな石が転がるゴロゴロという音がした。とてつもない雨で命の危機を感じた」。小椋さんは車で近くの高台に避難して一夜を過ごし、難を逃れたが翌日に自宅を見ると一変していた。近くの川は氾濫し、自宅と町道を結ぶ橋や玄関は流され、大木や直径2メートル級の石などが無数に転がっていた。

 弥生地区へとつながる唯一の道路は土砂が流入したり、崩落したりして通行止めになり、住民は避難を余儀なくされている。

 小椋さんは現在、会津若松市のアパートに身を寄せ、週1回ほど自宅に足を運んでいる。集落の入り口の町道から土砂を上ったり、川を渡ったりして2時間をかけて帰宅している。

 小椋さんは自宅から思い出の品や衣類を持ってきたが、大木や石が大量に積もっていることで、人力での復旧作業は困難な状況だ。

 「母との思い出が詰まった家だが、もう壊すしかない。この前までは庭で花を植えていたのに」。小椋さんは庭のあった場所を寂しそうに見つめた。

 町は町道復旧に向けた測量調査をしているが、復旧の見通しは立っていない。