ウクライナ支援の輪を 学生ボランティアの福島大・河原さん帰国

 
ウクライナから避難した人の話を聞く河原さん(左)

 ロシアによる侵攻が続くウクライナの避難者を支援する日本人学生ボランティアとして、ポーランドに派遣された河原慎太郎さん(20)=福島大食農学類3年、京都府出身=が帰国した。支援活動を通じて避難者の生の声を聞き、戦争の悲惨さを痛感した河原さんは、支援の輪を広げるため「身近な人に現地の状況や感じたことを伝え、ウクライナに関心を持つ人を増やしたい」と語った。

 避難所設営や運搬

 河原さんは、日本財団ボランティアセンター(東京都)が主催する第3陣の派遣団14人の1人として8月1日に出国した。本県の学生で選ばれたのは初めてで、ウクライナとの国境から約10キロにあるポーランドの都市プシェミシルで約2週間活動した。

 一時避難所の設営を手伝ったり、プシェミシル駅で列車を乗り継ぐ避難者らの荷物を運んだりした。駅では避難者の子どもやヨーロッパ圏からウクライナに一時帰国する住民など、さまざまな人が行き交った。表情は穏やかに見えたが、その後、実は戦争の苦しさを心に押し込んでいるのだと気付かされた。

 直接聞いた悲惨さ

 避難者の話を聞く機会があった。高齢者の女性は、ウクライナでは道端で人が倒れ、一般市民も被害を受けていると訴えた。「ウクライナ人は戦うために生まれてきたわけではない。ウクライナが被害を受けていることを伝えてほしい」。報道されていない悲惨な状況を聞いてつらくなった。別の若い女性は、音楽を聴いている時に爆撃音が響いて非常事態だと気付いたが、逃げ場所が分からず混乱した様子を語った。「ボーイフレンドはウクライナ軍に招集されて会えなくなった」と涙を流す姿に、平和な日本とは全く違う現実を突き付けられた。

 そのような中「遠い所から来てくれてありがとう」と言ってくれた避難者の言葉に胸が熱くなった。河原さんは本県のミニだるまや起き上がり小法師(こぼし)を持参し、避難者やボランティアに手渡した。河原さんを紹介する本紙の記事を見た知人から渡された品で、河原さんは「喜んでもらえてうれしかった」と振り返る。

 感じた「世界市民」

 現地でボランティアに携わる人の国籍はメキシコやフランス、イタリアなどさまざまで、腕にウクライナの国章の入れ墨を入れたロシア人の女性もいた。河原さんは「みんな、支援したいという同じで思いで集まっていた。(自分が理想とする)世界を一つの国として考える『世界市民』という言葉の意味を感じることができた」と語る。医学部生や行動力にあふれる学生など、一緒に活動したメンバーとの絆も大きな財産となった。「みんなで何かできる支援策を考えていきたい」と意欲を見せる河原さん。激戦の地の近くで感じた経験を糧に、新たな一歩を踏み出した。