福島イノベ構想、4社が新規参画 月面探査車や廃炉...研究開発へ

 
本県での新たな取り組みを発表した企業関係者

 福島イノベーション・コースト構想推進機構は6日、福島市で報道関係者向けの合同発表会を初めて開き、構想に新規参画する企業4社が本県で始める新たな挑戦の内容を説明した。

 合同発表会に出席したのは、大熊ダイヤモンドデバイス(札幌市)、シーマン人工知能研究所(東京都)、ダイモン(東京都)、武蔵精密工業(愛知県)の4社。

 このうちダイモンは、東日本計算センター(いわき市)と連携して月面探査車の「群探査システム」を開発し、月面環境の実験に取り組む。月面機のノウハウを応用し、廃炉点検ロボットなどの地上機の開発も目指す。技術者の育成や宇宙教育エンターテインメント事業の確立につなげ、本県復興に役立てたい考えだ。

 大熊ダイヤモンドデバイスは、大熊町を拠点に廃炉技術の社会実装を見据えたダイヤモンド半導体について研究する。

 武蔵精密工業は、発電事業者や電力の利用者が分散するグリーンエネルギーを有効に活用するため、電力の余剰と不足の情報を共有して需給調整を行うシステムを開発する。今秋にも楢葉町で実証を始め、「デジタル共有基盤」を開発することで浜通り全体や県内外に取り組みを広げていく。

 この基盤では、電力消費量や発電量、蓄電量を人工知能(AI)で予測し、発電事業者と電力の利用者が互いに余剰・不足量を共有できるようにする。

 従来の電力調達や契約関係とは別のデジタルサービスの提供によって多様な電力調達を支援し、浜通りで温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進につなげる。

 楢葉町での実証は来年度までの2年間の予定。

 11月をめどに「道の駅ならは」などにモニタリング(監視)機器を設置して、電力需給の予測技術の開発を進める。

 シーマン人工知能研究所は、人工知能(AI)による単身世帯の高齢者との会話を通じて健康状態や服薬状況、悩みなどを聞き、息子や娘にメールで通知する「AI生活会話見守りスピーカー」の実用化を進める。言語認識の知見を生かして柔軟に会話できるのが特徴で、2025年度に川俣町で試験運用を行い、26年度から月額制での本格運用を目指す。

 同社は1999年に発売されたゲームソフト「シーマン」の開発責任者が設立したベンチャー企業。人面魚のキャラクター「シーマン」がマイクを通じて会話する言語認識の知見が豊富で、高齢者からの予期しない回答にも柔軟に対応できるようにする。

 従来の見守りサービスは主に人感センサーや家電製品と連動したものが多いが、日々の会話から血圧や体温、服薬状況、悩みなどの情報を得ることで、人感センサーでは把握し切れないきめ細かな情報を伝えられるようにする。

 毎日会話することで、高齢者の孤独感の緩和や生活の質の低下防止にもつなげる。

 少子高齢化や単身高齢世帯の増加に加え、新型コロナウイルス禍で親子が会えなくなったケースも多く、単身の親を持つ子ども世代には見守りサービスへの需要が高まっている。同社は病院や介護施設と連携したサービスの活用も模索していく。