優雅に大自然の旅 レトロ車両に揺られて...只見線・試乗会ルポ

 
本名ダムを望みながら第6只見川橋梁を渡る列車。車窓からは只見川沿いの雄大な景色が目に入ってきた=金山町

 JR只見線の会津川口(金山町)―只見(只見町)間で6日に開かれた試乗会。片道約50分、往復1時間40分の旅は、自然にあふれた奥会津の魅力を教えてくれる優雅なひとときだった。それと同時に、再開通は奥会津振興に向けた「スタートライン」であることも見えてきた。

 照り付ける日差しの中、会津川口駅で車両に乗り込んだ。茶色と黒色をまとった客車は定員216人の3両。車内は焦げ茶色で、白色の天井には丸いライトが付いており、どこか懐かしさを感じさせる。

 列車は乗客を乗せ、駅を出発。ガタンゴトンキーッと大きな音が車内に響く。趣ある木枠の車窓からは心地よい風。この日の気温は30度を超していたが、風が残暑を忘れさせてくれる。外を眺めると、近くを流れる只見川と雄大な山々が目に入った。自然を肌で感じながら、列車は時速35キロでゆっくりと進んでいく。

 「間もなく第6只見川橋梁(きょうりょう)を渡ります」。アナウンスが流れると、黄色の大きな橋が目に入った。第6橋梁は数ある橋梁の中でも、緩やかに流れる只見川と緑あふれる自然を見渡すことができる場所だ。川が日の光を浴びて輝いていた。秋の訪れを告げるコスモスや金色に光る稲など、列車が進むごとに自然を堪能した。

 会津大塩駅付近を通ると、車窓から「おかえり只見線」と大きな旗を持ち、手を振る人たちが目に入った。沿線から手を振る地域住民や鉄道ファンにもたくさん出会った。只見線の再開通への喜び、期待がひしひしと伝わってきた。

 車窓から自然を眺め、地域住民たちの温かさに心を打たれているうちに、往復約1時間40分の乗車は終わった。大自然を肌で感じ、心地よい気分になった。それと同時に、沿線の住民が口にした言葉を思い出した。「生活路線ではなく、観光路線として活路を見いださないと再開しても続いていかない」。自然を満喫する乗車時間は格別で貴重な体験なのは間違いない。しかし、沿線の各地域にどんな効果をもたらしてくれるのか。

 試乗会を担当したJR東日本福島支店の鈴木真さんは「全線再開はゴールではない。ここから只見線を盛り上げていく」と語った。「間もなく再開」という言葉は「奥会津振興に向けた挑戦が間もなく始まる」ということなのだと痛感した。(報道部・八巻雪乃)