19歳孫、殺意を否認 塙の強盗殺人、地裁郡山で特定少年初公判

 

 塙町で今年2月、菊池ハナ子さん=当時(75)=が殺害され、奪われたキャッシュカードで現金300万円が引き出された事件で、強盗殺人や窃盗などの罪に問われた建築板金業の孫(19)=矢祭町=の裁判員裁判の初公判は7日、地裁郡山支部(小野寺健太裁判長)で開かれた。孫は「殺意を持って殴ったというところが違う」と起訴内容を一部否認した。

 4月施行の改正少年法により「特定少年」と位置付けられた18、19歳で、福島地検が起訴後に氏名を公表した被告の公判は県内で初めて。この日の審理も氏名を明らかにして進められた。

 冒頭陳述で検察側は、死ぬ可能性が高い行為であると分かった上で菊池さんの頭や首を鉄パイプで複数回殴るなど、殺意はあったと主張。一方、弁護側は「(菊池さんに)見つかりとっさに鉄パイプを振ったが、全力ではなく殺意はなかった」とし、強盗致死罪にとどまると主張した。

 起訴状などによると、2月9日深夜から10日未明に菊池さん方に侵入。菊池さんの頭を鉄パイプで殴って殺害し、奪ったキャッシュカードで現金を引き出したとしている。

 次回は8日午前10時から被告人質問などが行われる。判決公判は15日午後3時から。

 19歳「10回前後殴った」

 「人が死ぬ危険性が高い行為だ」「フルスイングではない」。強盗殺人や窃盗などの罪に問われた孫の裁判員裁判初公判では、祖母を鉄パイプで複数回殴った孫に殺意があったかどうかを巡り、検察側、弁護側双方が主張を展開した。孫は「(祖母が起き上がり)びっくりして、気が付いたら殴っていた」と殺意を否定。裁判員らはそれぞれの主張に聞き入った。

 検察側は冒頭陳述で、趣味で改造した車の修理道具代を得るために現金を盗もうと考えたと指摘。鉄パイプで複数回殴った理由について「菊池さんに顔を見られたと考えたため」とし、客観的に見て人が死ぬ危険性が高い行為だとして殺意が認められると指摘した。

 弁護側は、窃盗罪について認める一方、「人がいたら引き返すつもりだった」と主張。「フルスイングで殴ったわけではないし、菊池さんの頭の骨も折れていない」と殺意を否定し、強盗致死罪にとどまるとした。また、孫が「精神的に未熟」で、「再教育の必要性を重視すべきだ」と更生可能性を重んじるよう求めた。

 孫は被告人質問で、検察側から鉄パイプを持って侵入した理由を問われると、「窓ガラスを割るためで人を傷つけるためではない」と説明。弁護側の「いずれ発覚するとは思わなかったか」との問いには「捕まるまでの間は自由にしようと思った」と述べた。

 被害者が亡くなった後、盗んだキャッシュカードで現金を引き出した理由については「(祖母に対して)後ろめたい気持ちは常にあった」と話した。検察側は冒頭陳述で、孫が昨年9月、菊池さんがキャッシュカードなどをタンスの引き出しに収納していることを知ったとし、今年1月に借金を申し込んだが断られていたとした。