「夏秋イチゴ」甘さを追求 猪苗代に農園、ITエンジニア奮闘

 
初めての農業は「試行錯誤の連続」と話す早坂さん=猪苗代町・道の駅前猪苗代いちご園

 ITエンジニアからイチゴ農園の管理者へ―。今夏オープンした猪苗代町のイチゴ狩り農園「道の駅前猪苗代いちご園」の農場長を務める早坂心汰(しんた)さん(26)は、ITエンジニアからの転身という異色の経歴を持つ。気温や水の量といった栽培に必要なデータの管理にこれまでの経験を生かしながら、「町内に新しい観光名所をつくりたい」との思いを胸に奮闘している。

 農園は、ITや金融事業などを展開するISホールディングス(東京都)が7月に開設した。冬から春に最盛期を迎える一般のイチゴではなく、夏から秋に収穫できる希少な「夏秋(かしゅう)イチゴ」の苗約4700株を栽培している。品種は、甘さを追求して新しく開発した猪苗代プレミアムのほか、よつぼし、とちひとみ、夏実の4種をそろえる。

 早坂さんは山形県鶴岡市出身。同社のITエンジニアとして金融系のシステム開発に従事してきた。2020年秋、遠藤昭二社長が猪苗代町出身だったことが縁で、同社が猪苗代スキー場を取得したことが転機となった。オフシーズンの事業として農園プロジェクトが発足し、同町に転勤した早坂さんらが事業を担うことになった。

 「全く予想外の任命で驚いた」と早坂さん。「農業のことはさっぱり分からず、インターネットで調べるところから始めた」

 希少な夏秋イチゴの栽培法は、一般のイチゴに比べて情報が少なかった。早坂さんは試行錯誤しながら苗の発注やビニールハウスの造成など準備を進めた。

 今年4月の苗植え後は、気温や水の量を管理しながらの地道な作業が続いたが、「数値の取り扱いやデータの管理は得意分野なので、ITエンジニアの経験が生きた」と語る。

 イチゴは順調に育ち、7月に無事にオープン。「来場者が喜ぶ姿を見て、大切に育てて良かったと思った。目の前で反応があるのでうれしい」と喜ぶ。

 好評のため農園の増設も検討されているという。早坂さんは「まずは全国でも珍しい夏秋イチゴの観光農園を定着させ、その後はマンゴーやバナナなどの南国フルーツにも挑戦したい」と笑顔を見せた。農園への問い合わせは電話0242・93・5570へ。